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歩いても歩いても




監督:是枝裕和/新宿武蔵野館/★4(85点)本家公式サイト

タイトルの出所が分かった時「そこを切り取るんだ」「そういう視点の映画なんだ」と膝を打った
♪歩いても〜歩いても〜♪
劇中、曲が流れるのだが、普通そこは切り取らないでしょ。メロディー的には中サビでカラオケで歌っててグッと乗ってくるところなんだが(<歌ってんのかよ)、歌詞的には全体はおろかそのセンテンスだけとっても切り取るべき主要部分じゃない。

おそらく、それがこの映画の(そしていつもの是枝の)視点なのだろう。
この映画全体が、事件の核心よりも“周辺”描写の集積で作られている。

一つの事件の“事前”や“事後”を描く(新聞記事から想像を膨らませたような)いつもの是枝映画。
基本“後ろ向き”な人生を描くのが好きな是枝が、前作『花よりもなほ』から少しずつ見せ始めた“ちょっとだけ前向き”な結末。
本作もその延長線上にあると思う。

これは、死を受け入れる物語なのだろう。
ウサギが死んだことが“無”と考える少年と、未だ息子の死を受け入れきれない親。
いやむしろ、“生きること”と“死ぬこと”が表裏一体、あるいは同一線上としてとらえた物語なのかもしれない。

エピローグさえなければ5点つけても良かったと思う。
それくらいドスゴイ映画だと思った。
原田芳雄・樹木希林夫妻なんて卑怯だと思った。
樹木希林はさらに卑怯度がアップしてると思った。

ただ、エピローグ(その後のエピソード)だけは不要に思えてしかたがなかった。
この群衆劇の中で、突然一人視点に変わってしまったから。
それも、全員が全員“腹に一物”抱えている人々の中で、一番描写が弱いように思えた者の視点に移ってしまったから。
この“周辺描写”の物語の中で、突然分かりやすいオチに思えたから。
死を受け入れる=「何かが残る」というオチ。
まあ、それはそれで、一つの明確なメッセージなのだけれども。

しかしまあ、YOU先生と最近貫禄さえ出てきた夏川結衣が樹木希林と互角に渡り合ってる様は、観ていてまったく楽しかった。

日本公開2008年6月28日(2007年 シネカノン)

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