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アフタースクール




監督:内田けんじ/渋谷シネクイント/★4(89点)
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巧みな脚本は「意外な展開」ばかりではない
劇中、「佐野美紀が出産したんだ。」という台詞がある。
一見すると同級生に対して発する普通の台詞に思えるのだが、観ていてちょっと引っかかった。
「佐野美紀が」という言い方が気になった。
話の流れから言えば「木村の子が」とか「彼女、木村と結婚してさあ」とか言う前置きがある方が自然に思えたからだ。

オチを知ってみれば、この台詞が非常に秀逸なことが分かる。
嘘をつかずに観客のミスリードを誘うギリギリのライン。

もちろんその類稀なストーリーテラーとしての才能が生み出す“意外な展開”も「練り込まれた脚本」と呼ばれる大きな要素なのだが、こうした細部の周到な“詰め”も良くできている。構成も巧い。神は細部に宿る。
内田けんじの描く“意外な展開”は決して「卑怯だ」とは言われないだろう。

『運命じゃない人』も同様だが、不思議と後味が良い。
世の中には「うわぁ」と思うような“嫌な”ドンデン返しも多くあるのに、内田けんじのはそうじゃない。「爽やか」と言ってもいい。

私は『運命じゃない人』を「美しい脚本」と評したが、相変わらず美しい。実に良心的で見事なミスリード。

正直、それ以外に言うことは何もないね。

2008年5月24日公開(2007年 クロックワーク)

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