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大いなる陰謀




監督:ロバート・レッドフォード/渋東シネタワー/★2(48点)本家公式サイト

ロバート・レッドフォードは真面目すぎる。「風刺」という美しい日本語を教えてあげたい。
まず褒めよう。
「アメリカ軍アメリカ軍って偉そうな事言ってるけど、支えてるのは黒人やメキシコ人なんかの下層民なんだよ!」ってことを、台詞だけじゃなくドラマに消化している点は評価したい。
逆に、評価できる消化(昇華)はそこだけかもしれない。

やりたい事も言いたい事もよく分かるし、結構ロバート・レッドフォードが社会派小品好みなのも知っている。ありがちな娯楽や安易なハッピーエンドに陥らず、一方的な主張を声高に叫ぶだけでない点もロバート・レッドフォードらしい。
でも、映画としての出来自体どうなんだ?

制作側がツバ飛ばしながら熱弁ている感じがして引く。映画って、観る側が身を乗り出して「それで?それで?」って話の続きを聞きたくなる(観たくなる)もんだと思うんだけど、この映画は逆じゃない?「聞いて!聞いて!」って映画が言ってる。
優れた作家は、本当に言いたいことを隠して描くんですよ。

話も設定も「さもありなん」だし。

構成は変化球だけど、設定はド直球。この話「政治家が国民を死に追いやっている」という内容で、政治家・ジャーナリスト・思想家・若者という設定は真正面過ぎやしませんか。
芸が無いと言ってもいい。いや何も、主人公を床屋の主人にしろとは言いませんけど。

あれこれグジャグジャしゃべってる状況を観ながら『日本の夜と霧』を思い出したよ。
あれもグジャグジャしゃべってて「なんだかなあ」という印象なのだが、それでも“結婚式”という特殊な状況下で“総括”が始まるという面白味があった。

例えばアメリカ映画でも、ベトナム戦争時期の作品は(反戦・厭戦という一方的な主張であるにせよ)もっと「暗喩」であり「風刺」ではなかったか。
意識・無意識に関わらず、“時代の空気”が切り取られていなかったか。
そして、社会派映画は常に体制に対する“挑戦”ではなかったか。

高給取り豪華俳優並べて、スタジオ撮影の安定した演出で「さもありなん」な話の“体制的な作りの映画”で“社会派”って言われてもねえ。

日本公開2008年4月18日(2007年 米(MGM=UA))

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