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全然大丈夫




監督:藤田容介/渋谷シネクイント/★4(85点)
本家goo movie公式サイト

痛い。切ない。優しい。やり直せない年齢の「許容」。
万人向きの映画ではありません。この映画の好き嫌いは『ゴーストワールド』の感覚に似ているかもしれません。

宣伝文句に乗せられて「癒し系」「脱力コメディー」と思ってみるとヒドイ目に合います。
映画の冒頭。浮浪者の老女がゴミためを漁る。それを双眼鏡で観察する木村佳乃。
まったくワクワクするようなシチュエーションですが、万人向け・大衆向けの映画でないことはお分かりいただけるでしょう。

これは、痛くて、切なくて、哀しくて、でも優しい映画なのです。
大衆が好むところの「癒し」や「いい話」とは異次元にあるのですが、とてもいい話で、別の意味で癒しの物語です。

「来年30歳だ。いつまでも幼稚なことをやってられない。」

40歳の私が言うのもナンですが、痛いほど胸に染みます。
実際、私も社会人になっても自主映画を撮っていたダメ人間なのですが、監督である友人から「俺たちもうやり直せない年齢になっちゃったんだよなあ」というテーマを提示されたにもかかわらず、脚本担当の私はテーマをストーリーに消化(昇華)しきれなかった苦い想い出があります。
この映画は、「やり直せない年齢」を消化したばかりでなく、そのありのままの姿を「許容」する懐の深さを見せてくれます。

登場人物は皆、心や体に欠陥を持つ人ばかりなのですが、「欠点を長所に!」というポジティブシンキングではなく、「欠点さえも含めて愛する」という優しさがあります。
そういった意味では、今の時代の「ゆるい」というキーワードに合致するかもしれません。

中でも「ティッシュの箱が開けられない」というクダリが2度ありますが、単にテンドンで笑わせるだけかと思ったら、不器用なりの成長を見せるんですね。それはもちろん、テストで言えば合格点を出せる成績ではないのですが、前回20点だった子が40点とった成長なんです。「どうして80点以上とれないんだ!」という社会の中で、「よくがんばったね。次は60点とれるかもしれないね。」ということを評価できる優しさに溢れているのです。
だって、お父さんなんか逃げちゃうんだぜ。でも「それもアリだよね」って映画なんです。

この映画は、観る者が癒される映画ではなく、「人に優しくする」「癒す」ということがどういうことなのかを教えてくれる映画ではないでしょうか。

2008年1月26日公開(2007年 日)

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