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さらば、ベルリン




監督:スティーブン・ソダーバーグ/目黒シネマ/★4(70点)
本家goo movie

ソダーバーグの「古典ミステリーやってみよー!」の巻

どういうわけだかワーナーで映画を撮らせてもらえることの多いソダーバーグだが、彼は本来インディペンデント映画の人だ、と言っていいと思う。

同じインディペンデントのコーエン兄弟が毎度毎度似たようなスタイルで作品を作るのに対し、ソダーバーグは「今回はこれをやってみよー!」的な実験が好きなご様子。
自分の好きな過去作品を模倣する点に関して言えばタランティーノと同類だが、“B級映画大好き”タランティーノと違い、ソダーバーグはタルコフスキーやらミケランジェロ・アントニオーニやらといった、日本的に言えば「サブカル」な「スカした」映画がお好みな人なのだ。

今回、ソダーバーグの「コレやってみよー!」は古典映画とミステリー。
しかし、サブカルでスカしたソダーバーグだから、とっつきにくい。

ストーリーや設定から、『第三の男』『カサブランカ』は容易に想像できるし、ケイト・ブランシェットはマレーネ・ディートリッヒを彷彿とさせる。群衆の中での殺人は雨が降ってればヒッチコック『海外特派員』みたいだ。撮影や音楽など、古典映画への(模倣の)こだわりは誰でも容易に目がいくだろう。

しかし、むしろ私が興味深かったのは、もう一つのチャレンジ、ミステリーの方。
ソダーバーグは、ミステリーに満ちたストーリーテリングは巧いが、真正面からミステリーを取り上げたことはあまり無かったような気がする。少なくともこうした“集団ミステリー”は初めてじゃないだろうか。

この映画、主人公というかストーリーの語り部が3人いる。リレー方式とでも言うのだろうか、トビー・マグワイア→ジョージ・クルーニー→ケイト・ブランシェットの順で視点がバトンタッチされ、ストーリーを紡いでいく。
これは、凡庸なミステリーが安易なご都合主義で犯人側に視点を移してしまうのと大いに異なる。
また、一貫してジョージ・クルーニー視点で謎解きをする方法もあっただろうが、それでは“説明過多”に陥ると判断したのだろう。ややもすると、犯人は崖の上で片平なぎさに追い詰められてベラベラ言わんでもいいことまで白状しなければならない。

今回、ソダーバーグの画面の巧さは古典映画凝りでなりを潜めているが(古典映画風の画面はそれはそれで巧いが)、むしろストーリーテリングの工夫に巧さを感じた。

まあ、決して分かりやすいとは言えず、付いていくのに結構集中力いるけどね。
話自体はとても面白いし。

日本公開2007年9月22日(2006年 米)

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