July 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

タロットカード殺人事件




監督:ウディ・アレン/渋谷Bunkamuraル・シネマ/★4(71点)
本家goo movie公式サイト

「ヨハンソン萌え」のミステリー落語

ウディ・アレンほど、私生活と作品が連動する映画監督はいない。
私生活が絶好調なら映画も絶好調、私生活に悩み事が多くなれば悩める映画(作品としても観客にとっても)が生れてくる。ミア・ファローと別れるゴタゴタの時期、アメリカを去る直前、ホントに悩みが映画に出ていた。
イギリスに拠点を移した2作を観る限り、なかなか好調のご様子。
いやまあ、「いい所だけど永住する気はない」と劇中言ってるけど(<たぶん本音)。

スカーレット・ヨハンソンを眼鏡ッ子にしてみたり、スク水みたいな水着を着せてみたり、男物のシャツ一枚とかバスタオル一枚とか、ウディおじさんってばどんだけヨハンソンに萌え萌えなんよ、って映画。
しかしさすがに70歳過ぎて自分が恋のお相手をする図々しさはないようで(60歳代最後の想い出なのか『スコルピオンの恋まじない』ではヘレン・ハントの恋のお相手をする図々しさを見せたが)、「パパ」ときたもんだ。

さすがに歳くったなあ。

いや、恋のお相手どうこうもさることながら、作品そのものがね。
人間、歳とると粘り腰がなくなるんだよね。淡白になるというか。
まあ、元々凝った仕掛けは嫌いな人で、大がかりなセットは使わないしオープニングは音楽に文字しか使わない(「タイトルバックに凝ることほど無駄な制作費はない」と発言している)んだが、この映画ではハラハラドキドキのサスペンスすら淡白。

例えば地下室。
パーティー抜け出して倉庫(酒蔵)を調べに行くというエピソードはヒッチコック『汚名』にもあるのだが、「パーティーの酒が減ったら倉庫に取りに来る」というハラハラドキドキがあるわけです。ヒッチ先生の凄いところは「みんながパーティーで酒飲んでるだけでドキドキする」って演出をするところ。ところがこのウディときたら、いきなりワイン取りに来てバタンって扉閉めちゃうんだもん(笑)。
しかし、ここがウディ・アレンの凄いところで、『汚名』なんて知らなくとも気付かなくとも笑えるシーンなんですね。元ネタが分からないと面白くもなんともない昨今のパロディーとは大きく違っていて、気付けばもっと可笑しいという“おかず”。

要するにウディ・アレンの老獪な話芸(ストーリー・テリング)は落語の名人芸。
「映画観たなあ」って満腹感より「毎度馬鹿馬鹿しいお笑いを一席」という軽快さ。
最近(コメディーの場合は)ますますこの傾向が強くなっている気がする。

日本公開2007年10月27日(2006年 英)95分

comments

   

trackback

pagetop