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クワイエットルームにようこそ




監督:松尾スズキ/シネカノン有楽町2丁目シアター1/★3(68点)
本家goo movie公式サイト

堂々映画監督=松尾スズキの「オズの魔法使い」。思っている以上に重い話。
竜巻に飲み込まれた如くクワイエットルームに辿り着いた明日香。
そこで脳の無いカカシ(ブルジョア部屋のピアニスト少女)・心の無いブリキの木こり(大竹しのぶ)・臆病なライオン(蒼井優)と出会う。おそらく飼い犬はクドカンで魔女はりょう、そしてこの病院はオズの国なのだろう。

この映画は精神病院や精神病を描くことが主目的ではない。
「生きる」ということを正面から描くファンタジーだ。
そしてこの映画は、思っている以上に重いテーマをぶつけてくる。

このドロシーは踵を鳴らせないのだ。いや、仮に踵を鳴らせたとしても、もはや「やっぱり一番」と言える戻るべきお家が無いのだ。
それでも人は生きなければならない。
「生きるって重いのよ。ウヒャヒャヒャ!」という大竹しのぶの台詞に代表されるように、ボールペンを首に刺されても看護婦を続けているりょうに代表されるように、長いトンネルを抜けた先でか細い自転車一つで疾走する和服の筒井真理子のように、人は“面白い”だけじゃ生きていけない。“人生”という苦難の旅を続けなければならない。
(唯一メアドを交換した中村優子は、また人生の旅を続けられずに舞い戻ったのだろう。)

短編2本を含め映画監督4作目の松尾スズキの演出は、世界のニナガワなんかよりも遥かに堂に入った映画監督っぷりで、「恋のフーガ」の高揚感なんかサイコーだった。あ、松尾スズキ自分で振り付けやってる。

また、女優の新たな引き出しを開くのも巧く、これまでも酒井若菜や高岡早紀の新境地を開いてきた。『恋の門』では「小島聖史上最高の小島聖」も見せてくれた。今回もまあ、内田有紀をそれなりに巧く良さを引き出していたと思う。
いや、ここ、歯切れが悪い言い方してるけど、内田有紀ファンではあるんだけど、正直彼女巧くないよね。内田有紀ファンではあるんだけどね。

でも、我が家で“超一流女優”の格付けをしている、大竹しのぶ、りょう、蒼井優という豪華女優陣に関しては、残念ながら「いつもの彼女達」だったよ。あのくらいは楽にできる子達だよ。平岩紙もね。

余談

終盤、回想の中に回想を入れるという構成があるのだが、実はあまり使われない手法である。使われない理由は観客が混乱するからなのだが、本作は明日香視点を一切崩さずに、むしろ明日香の思考や感情の流れに沿った回想だから自然に思えるのだろう。

2007年10月20日公開(2007年 アスミックエース)

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