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ボルベール 帰郷




監督:ペドロ・アルモドバル/飯田橋ギンレイ/★4(74点)
本家goo movie公式サイト

アルモドバルの『女だけの都』。つーか、土曜ワイド劇場。ストーリーだけならいつ山村紅葉が出てきても不思議はない。

「望郷〜殺人事件で暴かれる出生の秘密。故郷の叔母の死と母の亡霊。母娘確執の果てに明かされる驚愕の真実とは〜」

テレビ欄にそう書かれても不思議はないストーリーなのだが、2時間サスペンスのような安っぽさがないのはさすがとしか言いようがない。2時間ドラマの女王(鑑賞部門)の俺が言うんだから間違いない。ま、いつもいつもオッパイポロリのペネロペちゃんの入浴シーン一つ無いけどね。

個人的に、アルモドバルは好きでもなければ嫌いでもない作家なのだが、いい意味でも悪い意味でも気になる作家ではある。気に障ると言ってもいい。いや、ハッキリ言えばこいつの押しつけがましい「マイノリティー大好き」臭さは嫌いなんだ!

だが正直言って巧い。
この程度のストーリーに品格と風格を与え、飽きさせることなく説教臭くもなく己がテーマを巧みに盛り込む。
逆に言えば、小粋なサスペンスと軽妙な語り口が、テーマを押しつけがましく感じさせなかったのだろう(今回は)。

冒頭の「女だらけの墓地掃除大会(谷間はあるけどポロリはないでよ)」で早々に「男を葬る物語」であることを暗示し、巧みな人物紹介で「女の物語」であることを宣言する。
最初に登場する男は手を振るレストランの店主。続いて夫。この二人は早々とその舞台から姿を消す。「女だけの世界」なら最初から出さなくてもいいのだが、二人が姿を消すのはストーリー上重要なキーポイントであると同時に、物語としても重要な要素となる。
これは「男のいらない女の世界」ではなく、「男が去った後の女の世界」の物語なのだ。
フランス映画の多くが女の幻影に翻弄されるように、男の幻影がつきまとう話なのだ。だからちょっとでも男がその舞台に顔を出す必要がある。

この映画に於ける最大の「男の幻影」は父親。それはこの物語の女達にとって犬神佐兵衛の如き「亡霊」なのだが、その姿を一切我々に提示しないというトリッキーなことをする。アルモドバルはそういうトリッキーなことが好きだ。あいつはそういう奴だ!いや、そんなことより、母親の幽霊エピソードがあるが、本当は父親こそが彼女達にとっての亡霊なのである。

やがて女達は互いの「和解」や「赦し」によって、男の亡霊を葬ることにつながる。この物語の構造は凄い。冒頭の「女だらけの墓地掃除大会」がもの凄くよくできた暗示として活きている。ポロリはないけど。

日本公開2007年6月30日(2006年 スペイン)2時間

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