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焼け石に水




監督:フランソワ・オゾン/CS録画/★3(58点)
本家goo movie

後のオゾンの要素が全部入った映画
私はこの後のオゾン作品を見続けているので、残念ながら新鮮さは無く、「なるほどオゾンだなあ」という感想しか持てなかった。

同性愛、別れ話、事件性のある死、変な踊り、サニエちゃんのオッパイ・・・この映画には後のオゾンの要素が全部ある。

原作はライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。ええ!ファスビンダー?ファスビンダーってあのファスビンダー?なんだそれ?

ふむふむなるほど。調べてみたら、どうやらファスビンダーが19歳の時に書いた(そして日の目を見ることのなかった)戯曲を、どういう経緯か知らんがオゾンが映画化したらしい。ドイツ舞台であることから推測するに、原作を無理にアレンジしていないのだろう(電話等の小道具から推測しても原作通りの時代設定だと思われる)。

ファスビンダーの話だと分かると、この映画グッと分かりやすくなってくる。

この映画の不可思議さは、下着姿の女とコートを着た女(?)が一緒にいることにある。コートを着た傲慢な中年男と献身的な全裸の美少年がベッドを共にすることにある。裸にコートの美少年と半裸の性転換した女(?)が床に寝ころび、そのすぐそばで暑苦しいオヤジとボインのお嬢さんが全裸でチチクリあっていることにある。そして何故か知らねど、そいつらが陽気に踊っていたりする。ごく当り前なふりをして異常な状況が繰り広げられる。いや、異常な状況に見せかけた日常かもしれない。

要するに、ここは“カオス”なのだ。

可笑しくて、やがて哀しきなんとやら。
おそらく、若きファスビンダーの目には、“世の中”がこうした“混沌”に写っていたのだろう。彼は“神の視点”でこのカオスを見下ろし、人の世の無情を見出していたのではないだろうか。

そう考えると、オゾンの巧さはこの映画にとって失敗だったようにも思える。
安定して無駄のない緻密な画面構成には“混沌”たる破綻がなく、美少年を主軸にした視点は“神の視点”たる客観性がない。

しかしツマラナイ映画かというと、そうでもない。
いや、もしかするとツマラナイ映画なのかもしれないが、オゾン演出の巧さは大したことない話でもそれなりに面白く魅せてしまう。
そういう意味でもオゾンらしい映画である。

(2000年 仏)86分

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