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パラダイスの夕暮れ


パラダイス

監督:アキ・カウリスマキ/渋谷ユーロスペース/★4(70点)
本家
夢の共演。意外な結論。
カウリスマキ長編3作目。
そのせいかどうか、冒頭トラック出奔シーンは、後のカウリスマキからは想像できないほど流麗なアクションつなぎのカット割。黒澤かと思ったぞ(<思わねえって)。

カティ・オウティネンとマッティ・ペロンパーのラブロマンス!(今にして思えば)夢の共演!

我が家ではカウリスマキを「小津の進化系」と呼んでいるので、常連女優カティ・オウティネンは必然的に原節子と呼んでいる。
これはもう、原節子と三船敏郎の共演みたいなもんだ(<だから黒澤じゃねえって)。

この映画を観て一つ気付いたことがある。
未だカウリスマキ映画を全部観ていないので確かなことは言えないが、「流れてきた者」と「去る者(去ろうとする者)」の話が多いように思う。

この映画ではその“去る姿”を写さなかったことが意外だった。
普通なら、船上の二人を写して「幸せな未来」を想像させるでしょ。
ところが去りゆく船を写すだけ。
つまりカウリスマキの視点は“残る者”の側にある。
幸福になるのか?不幸になるのか?そうした情報を観客に与えず、「幸せになってほしい」と我々に思わせる。

この映画を観てカウリスマキが少し分かった気がする。
ダメ人間に対する愛情たっぷりの監督というのは少し違う気がしてきた。
主人公にベッタリ寄り添って幸せにしてあげるわけではなく、かといって冷徹な視点で客観描写するわけでもない。
半歩引いたポジションで人間の滑稽さを見つめながら、観客と一緒に「幸あれ」と願っているのではないだろうか。
監督の想いを原節子と三船敏郎に託して(<だから違うって)

(1986年 フィンランド)75分

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