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殯の森




監督:河瀬直美/NHKBS-hi/★2(35点)
本家goo movie公式サイト

ドキュメンタリー風じゃなくてフィクション風だと思う。
私は「作り物の面白さ」が大好きなんですね。
“フィクション(嘘)”の設定で“リアル(本当)”な感情が描かれてるのがいい。その根底に“哀しみ”が流れているとベスト。痛いくらい哀しいのが好き。
だから、怪獣が現れる“嘘”の中で逃げまどい苦悩する人々の“本当”と“哀しみ”が描き込まれた初作『ゴジラ』なんか大好物なんですよ。『シザーハンズ』とか塚本晋也とかテリー・ギリアムとか最高だね。
例えるなら、値段は安いけど本格派の味がする料理。そうさなあ、モスバーガーとか吉野屋の牛丼とか。

一番嫌いなのが、“リアル”風の設定の中で“嘘”の感情が描かれる映画。
建設途中の東京タワーを背景に嘘っぱちの昭和の人々を描くお涙ちょうだい映画とか、あと、えーっとそうだなあ、浅田次郎原作とか。
安いファミレスのステーキセットみたいな映画。

で、二番目に嫌いなのが、“リアル”風の設定の中で“リアル”な感情を描いてるんだけど「どう?リアルでしょ?」って自慢してる映画。
正確に言うと「どう?リアルでしょ?」ってこと以上何もない映画。
この映画がそう。
例えるなら、いけすから取り出した本物の素材なんだけど味がスカスカな活け造りみたいな映画。

いや、「どう?リアルでしょ?」ってこと以上何もないと書いたが、この映画の言いたいことは解らないわけじゃない。
老いだとか生と死だとか。それを変化球じゃなく真正面から向き合う姿勢もよく解る。

でもそれは半分寝ながらボンヤリ観ていても解ること。
中学生ぐらいでもいい話(テーマ)であることくらいは解る(面白くはないだろうが)。
そこには最初から決められた「正解」があって、観客は物語を読み解く機会すら与えられない。
つまり、『バベル』でも同じことを書いたが、二度三度観ても新しい発見がある映画じゃない。
それ以前に、二度三度観たい映画じゃない。

加えてこの映画、テーマの割に“痛み”が伴ってない。
主人公の女性が夫に花か何か投げつけられて子供が死んだことをなじられるシーンがある。
このシーンには“痛み”も“哀しみ”もなく、あるのは「状況説明」しか見えない。
このシーンで河瀬直美の「フィクション下手」が垣間見え、それがこの映画全編を覆っていると思うのだ。

余談

くだらん日本マスコミの現地取材に「日本には素晴らしい介護制度があることに感心した」と答えていた外人がいたが、あんな若くてきれいなお姉ちゃんがチチ放り出してくれるサービスがあるなら「トレビアンな介護制度だ!」って思うフランス人ジイサンがいても不思議はない。

カンヌ映画祭グランプリ(審査員特別賞) 未公開(2007年 日)

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