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スパイダーマン3




監督:サム・ライミ/新宿バルト9シアター9/★3(60点)
本家goo movie公式サイト

ちょっとサム・ライミとスパイダーマンが剥離してきてマズい方向に進んでる気がする。だが、MJがブサイクな理由が分かったので「許す」
「詰め込み過ぎでまとまりがない」というもっぱらの評判なので、私も真似てまとまりのない長いレビューを書いてみる(<迷惑)。

私は『スパイダーマン2』が大好きだ。理由はサム・ライミ節全開で、完全にサム・ライミがスパイダーマンを凌駕したからだ。1作目も好きだが、それは『ダークマン』のリメイクだったからだ(<そう言ってるのは私だけ)。
だが本作は、スパイダーマンという“企画”にサム・ライミが負けてしまった印象が残る。

ハリーのくだりを考えれば本作は3部作の最終章であるべきだったが、そんなことどこも言ってない。
要するに、長期シリーズの3作目に位置付けられた。
彼女が危機に陥ってそれを救う“毎度おなじみパターン”が確立しつつある。
そんな安心感はいらない。「寅さん」じゃないんだから。

1作目は普通の男の子が孤高のヒーローとなる物語だった。
特殊能力を彼女の気を引くために利用しようとする普通の少年だった。
身近な人を危険に晒したことで、「孤独」を選択する物語だった。

人は、平凡である時は人と違う存在であることを求め、人と違う存在となれば孤独に悩む。

こうした深遠なテーマが、『スパイダーマン』には、否、サム・ライミの映画にはある。
よく「サム・ライミはマイノリティーを描く」という人がいるが、それは違う。アルモドバルはマイノリティー好きだが、サム・ライミが描くのは他人と違う存在になってしまったがための“孤高の人”なのだ。『ギフト』(神からの贈り物)である特殊能力が人を変えてしまう。
従って、サム・ライミの描く本シリーズ3作は“神”の存在が見え隠れする。
本作で教会の鐘の音はその一つ。
サム・ライミが監督し続ける限り、シリーズ中どこかで、正面から“神”と向き合わなければならないだろう。

だが、こうした深遠なテーマは深読みが必要。サム・ライミお得意の「大胆な省略法」でサラサラッと描かれてしまう。
ここがスパイダーマンシリーズの最大の難点なのだが、サム・ライミは元々ジックリ描き込むのを得意とする人ではない。
ジックリ描くのは、物が飛ぶのをスローモーションで描くくらいだ。

それはさておき、2作目でピーターは、途中精神的イ●ポに悩みながら、一時は“神”の領域まで近づいた。
あの列車を止めて乗客に抱えられて運ばれるシーンは、まるでキリストだった。

ところが、神の領域を垣間見た男が再び俗世に引き戻される。女だ。キルスティンだ。ダンストだ。女には気をつけろ!左側にも気をつけろ!
2作目では、当初MJを見上げる視点だったピーターが、最後には見上げられる視点に変わっている。
その立ち位置(カメラの視点)の観点で言えば、この3作目のMJは「落ちる女」ということになる。頂点に立っていたのはステージ上の階段の上だけ。後は落ちる一方。

とどのつまり、3作目は「復讐よくない」という9・11以来流行の凡庸なテーマに落ち着いてしまった。不満だ。

いっそMJがブチ殺されればよかったんだ。首ブラーンのデビルマンになればよかったんだ。怒りにかられたピーターが己の憤怒でブラックスパイダーマンに変わればよかったんだ。『君よ憤怒の河を渉れ』だ。スパイダーマン自ら復讐鬼と化したら、俺は本作を絶賛したろう。
うわっ!悪いこと書いてるな、俺。

だってさあ、黒スパイダーマンからの復帰が自己解決だろ。
あれだけサンドマンの可哀相な立場を描くなら、いっそ黒スパイダーマンもっと悪くして「スパイダーマン負けろ!」「サンドマンがんばれ!」くらいの感情を観客に抱かせた方が面白かったのに。そして戦いの中で覚醒しろ。戦うことで反省しろ。そしたら俺は本作を絶賛したろう。
実際本作は「自分でまいた種」との戦いだった。それを脚本として活かしきれていない。

だいたいさあ、ダークサイドに落ちたらどうなるかってことは、我々既にダースベイダーに教えられてるわけじゃん。だから映画ファンで怒りっぽい奴いないんだよ。俺以外。プンプン!だって俺『スターウォーズ』大嫌いだもーん。

しかし、黒ピーターの悪の目覚めが「女に色目を使う」ってのは最高に可笑しい。
可笑しいだけでなく深い意味がある。
悪=「女好き」、善=「MJに一途」という対立構図なのだ。
街中にイイ女がゴロゴロいるってのに、あんなブサイクなMJに一途なんだぜ。ピーターどんだけいい奴なんだってことですよ。
つまり善人ピーターを強調するための必然としてMJはブサイクなんですよ。あ、また悪いこと書いてる。

ずいぶん悪いこと書いてると思ったら、なんか俺の体に黒いのが付着してる。
ヨメに言ったら「どうせなら薄くなった頭に付けばいいのに」だって。ヒドイ。あ、ブラック・ヨメになってる。

日本公開2007年5月1日(2007年 米)

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