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ユメ十夜




監督:(後述)/新宿シネマスクエアとうきゅう/★3(58点)
本家goo movie公式サイト

漱石の幻想小説「百年後の解釈」というよりも、この映画を理解するには原作を読め!と言ってる気がする。
この手のオムニバス映画は、監督の特徴をバイキング的に楽しむのにちょうどいい。
原作を知っている(話が分かっている)からというのもあるだろうが、その監督の「調理具合」が楽しかった。
いやあ、面白かったよ。原作もだいたいこんなもんだし。改めて原作を読み返しちゃったよ。
まあ、好きな監督が多かったせいもあるかもしれないけど。

以下、寸評。

第一夜(監督:実相寺昭雄、脚本:久世光彦)

これが実相寺昭雄の遺作になるのか?
小泉今日子様がキャスティングされている辺りを見ると、本当は久世光彦が監督する予定だったんじゃないのかなあ?脚本書いた段階で死んじゃったんじゃないのかなあ?寺田農は実相寺キャストだけど。
そういうわけで死の第一夜。いきなり漱石じゃなくて、弟子の内田百間(本当は痢砲鮖ち出してきた。確かに「夢十夜」で夏目漱石が見せた特異な世界を受け継いだのは内田百間なのだが(それがいろんな変遷を経て現在は川上弘美に受け継がれていると思う)、唐突な変化球にちょっと笑った。
内田百間と言えば「サラサーテの盤」。サラサーテ自演の「チゴイネルワイゼン」をBGMに使用する徹底ぶり(?)。
いや違う。
「サラサーテの盤」を原作とした映画は、鈴木清順監督作『ツィゴイネルワイゼン』。私が愛してやまない『ツィゴイネルワイゼン』。「今、何か言ったかい?」「いや。サラサーテがしゃべってるんだよ。」でおなじみ『ツィゴイネルワイゼン』。
セット自体を撮影する手法といい、この映画は鈴木清順に対するオマージュなのだ!みんな鈴木清順に憧れているのだ!ワハハハ!ざまあみろ!チギリコンニャク!チギリコンニャク!
いや、たぶん違うな。
実相寺映像もそこそこ楽しめる。斜めカメラだ!でっかい月ドーン!

第二夜(監督:市川崑)

全十話の中で最も原作に忠実に描かれた作品。
映像化が難しい原作の調理手法はさすが。
ただ、元来トリッキーな監督が、このオムニバスでは一番保守的な作品に見えるのは、年齢のせいか、時代のせいか。
どうせなら襖に着物の袖を挟んでほしかった。

第三夜(監督:清水崇)

原作全十話中、最も好きな不条理ホラー。結果は全十話中最も残念な結果に。
「何故こんな話を書いたか」という解釈はアリっちゃアリだが、原作の唐突な不条理感が薄れてしまった感じがする。
こんな話にするのだったら、ホラーの騎手が監督しなくてもよかったかもしれない。

第四夜(監督:清水厚)

この人の監督作を初めて観た。ふーん、実相寺昭雄の弟子なんだ。どうりで斜めカメラだ。
四話目にして初めて「明治時代」を離れる。最初はちょっと戸惑った。そうか、これは原作を自由に料理していい企画だったんだな。
むー、それにしてもなんだかなあ。ありがちな迷宮物になってる気がする。

第五夜(監督:豊島圭介)

この人の監督作も初めて観た。
よくまとまった脚本、というか原作の大胆な脚色っぷりが見事。
最後はちょっと笑っちゃったが、実はとても切なく深い話・・・のような気がする。
振り返ってみると、これが一番面白かったかもしれない。
監督が“短編慣れ”しているせいかもしれないが。

第六夜(監督:松尾スズキ)

誰も賛同してくれないかもしれませんが、原作通りです(笑)。

第七夜(監督:天野喜孝・河原真明)

原作は漱石の心理が一番分かりやすい話で、要するに身体壊して帰ってきたロンドン留学の嫌な想い出を抽象化した話なのだ。
その解釈はともかく、このアニメも原作をほぼ忠実に描いているだが、ラストの追加一つで物語の印象がガラッと変わる。それが良いか悪いかその人次第。ちなみに私は後者です。

第八夜(監督:山下敦弘)

原型とどめてねえじゃん(笑)
ただ、この八話目、原作はそれまでの「夢」の話と少し毛色が違う。
なんだか「床屋に行った」というエッセーみたいになっている。
この映画を観て気付いたのだが、漱石もネタに困っていたのではないだろうか?
そう考えると、この一本が「漱石がこの話を書くまでの話」に見えてくるから不思議だ。不思議か?

第九夜(監督:西川美和)

『ゆれる』の時も思ったけど、西川美和巧くなったなあ。
終わり方は雑だけど。『ゆれる』の時も思ったけど。
しかし、この大胆な脚色も秀逸で、とても面白い一本。
緒川たまきはいいなあ。緒川たまきはいい。

第十夜(監督:山口雄大)

これがこの監督らしさなんでしょうね。初めて観たけど面白かった。
えーっと、これも原作通りだ。マジで。

2007年1月27日公開(2007年 日活)

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