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NANA




監督:大谷健太郎/TV/★2(30点)
本家goo movie

大谷健太郎ほど役者についてとやかく言われる監督はいない
原作未読だし『NANA2』宣伝用の地上波放送で観ただけなので偉そうなことは言えないし、他の作品は『ラフ』しか観ていないのでこれまた偉そうなことは言えないのだが、この監督の作品のコメントを見回していると決まって同じ感想が出てくる。

「主役はいいけど他の役者が下手(特に男性)」

これはもう、役者のせいではなく監督のせいなのだ。
この監督、絵コンテを切ったりして「何をどう撮れば何が写って何が伝えられるか」を考える監督ではないと思う。まず芝居を付けてそれから撮影を考える、所謂「やってみなきゃ分かんないだろ!」型だ。日活撮影所出身者に多いパターンだそうで、その祖は今村正平、究極は相米慎二がこれに当たる。ま、この監督はぴあ出身なので日活撮影所とは関係ないが。

一緒に観ていたヨメが早々にブチ切れたのが、モタモタと長いマフラーを巻くシーン。
要するにこのシーン、「愛し合う二人」を観客に伝えることが主目的なのだから、いきなり巻いていたってちっとも不自然ではない。カット割ってサッと巻けば男振りも上がろうというもんだ。それをモタモタやってるもんだから「見た目だけのカッコワルイ男」にしか見えない。細かい所作がキャラクター造形を膨らませることを分かってない。

つまり、「やってみなきゃ分かんないだろ!」型のこの監督は、本当にやってみなきゃ分からないみたいで、いや、やってみても分かってないみたいで、ワザと下手っぴいな演技をさせてるんじゃないかと疑うほど、どの役者も下手っぴいで危なっかしくて見ちゃいられない。(いや、話は意外と面白かったんだけどね)

そんな中、宮崎あおいは本当に凄いと思う。
まず、役柄を消化(昇華)する能力の高さ。
そして意外と気付かれにくいのだが、「自然な存在感」という特殊能力。

「巧い役者」が下手っぴいの中に紛れ込むと「浮く」ことが多い。
所謂「名女優」と呼ばれる人に多いパターンで、浮かないまでも、その人が映画全体をかっさらったり、映画の雰囲気が変わったりと「混入した異物」になりかねない(それはそれで観ていて楽しいのだが)。
ところが宮崎あおいにそれはない。いまだかつてただの一度もない。
こんな安い画面の安い芝居の中で、自分が安きに流れることなく、でも決して浮くこともない。

いやホント凄いよ。『NANA2』の出演を断って正解だと思うよ。だって周りの役者が可哀相だもん。

(2005年 東宝)

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