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父親たちの星条旗




監督:クリント・イーストウッド/新宿ミラノ2/★2(45点)
本家goo movie公式サイト

ダーティーハリーは権力とかマスコミとか得体の知れない者を撃つのは苦手なんじゃなかろうか?
クリント・イーストウッド監督作には、ほぼ常に「星条旗」が掲げられてきた。
そんな星条旗作家の彼が、今までのように画面の隅でなく、堂々中央に心置きなく星条旗を掲げることができたのが本作である。
だが、『スペース カウボーイ』辺りからその主張が明確化しているような気がしてならない。

「俺たちが理想としてきた星条旗(アメリカ)は、今の姿じゃない」

「理想と異なる現実のアメリカ」。それは「作られた英雄」という本作の主人公達ではなく、「作られた英雄」を生んだ「国家」「権力」「マスコミ」に向けられる。
つまり、主人公達は彼の主張の道具に使われたにすぎない。
クリント・イーストウッドは主人公達に同情していない。とは言わないが、彼らの中に心から描きたいものは無かったように思える。

これまでクリント・イーストウッドが演じ、あるいは描いてきた「英雄」は、皆に讃えられる存在ではなかったはずだ。むしろ疎まれ、嫌われる存在でありながら、真の正義を行い、影の英雄だったはずだ。
本作の主人公達は真逆の人物達なのである。
彼が食指を動かした点はそこなのだろう。
たしかに戦闘シーンにも力が入っているが、映画全体を貫くのは「戦争映画」ではなく「戦争後の映画」に思えるからだ。比較すべきは『プライベート・ライアン』ではなく『ディア・ハンター』ではないだろうか。

だが、イーストウッドが弾丸をぶち込みたいのは生身の肉体なのだ。
「国家」「権力」「マスコミ」なんていう実体のない代物ではない。
実際、この映画の戦闘シーンが魅力的なのは、戦争映画にありがちな戦略会議などという俯瞰の視点を持ち込まず、常に生身の肉体の視点で生身の肉体がのたうち回っているからである。
しかし、最終的に撃つ対象は実体が無かった。弾丸をぶち込むべき悪役がそこにいなかった。
そのせいだろうか。ぶっちゃけ、この映画ツマラナイ。

せめて、イーストウッドもう一つのお得意ジャンル「異常者」でもいれば、少しは違ったかもしれないのに。

日本公開2006年10月28日公開(2006年 米)


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