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電車男




監督:村上正典/CS/★3(41点)
本家goo movie

この映画で誉めるべき点があるとすれば、遺跡から集落を復元させるような作業をした脚本だ。

「面白い(笑える)」と思える言葉は掲示板の書き込み(原作)。「いいな」と思える言葉は創作部分。こう二分できると思う。
いずれにせよ「言葉」に頼った作品で、とても「映画」に昇華されていない。ま、短期間制作だから仕方がないのか(実際、主演二人は毎日2、3時間しか睡眠時間がなかったそうだ)。

物語性を持った映画の原作は、小説でも漫画でも、多少なりとも「描写」がある。
どんな人物なのか、どんな心理状態なのか、どういう状況なのか、直接、間接を問わず描写がある。
ところが「電車男」にはそれがない。そこに一切の「描写」はなく、ただそこに書き込まれた「痕跡」だけが残っている。
これは古代人の遺跡と同じだ。そこに何があったのか、何の目的でどんな物が作られたのか、遺跡から「推測」し「補完」するしかない。
この映画の「いいな」と思える部分は、そうした作業の賜物なのである。

ところが、この「推測」は、既存の知識や経験という「引き出し」に基づいて行われるのである。
そしてこの映画に於いて用いられたのは、残念ながら、極めてありふれた「引き出し」だったのである。

私は原作との比較に重きを置かないので、純粋に映画だけを見れば、手垢のついたベタな恋愛話にしか見えない。友人に恋の助言を得るなんて話はリアルに山ほどあって、その媒体がネットだったにすぎない。
この映画に感動するとすれば、ネットとの交流(いわば原作部分)ではなく、日本人の80%が好みであろうベタな恋愛部分であって、はっきりきっぱり言ってネットである必然性はまるでない。

そう考えると『(ハル)』は良くできていたなあ。ネットじゃなくてチャットだったし全然違う話だけど、パソコン通信(古い)の特性を活かしていたもんなあ。映画館の中で、まるで自分がパソコンのモニターを見ている気分だったもん、キーボードなんか一切写さないのに。1996年の映画かあ、早かったなあ。早すぎたんだなあ。「早すぎたハル」これが言いたかった。

ただ、ドラマツルギーとして「他人の力を借りて幸せになる男の物語」なんて許されるはずがない。この映画、そうした印象を与えなかったことは評価していいし、オチはそこからの「逃げ」とも考えられる。

2005年6月4日公開(2005年 東宝=フジテレビ)


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