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ミュンヘン




監督:スティーヴン・スピルバーグ/新宿ジョイシネマ2/★4(79点)
本家goo movie公式サイト

ジャン・ピエール・レオみたいなヤサ男がバンデラスの形相になるまでの物語
例えば冒頭のニュースシーン。小説なら「その悲劇を国中が悲しんだ。」という一文で足りる。それを映像で表現するのは大変困難な作業だ。それをやってのけた演出の巧さ。こんな見事なニュースシーンは、「そのニュースは世界中を駆けめぐった。」ことを表現した『パトレイバー2』以外で見たことがない。これホント。
一方でストーリテリングの巧さ。例えば、むやみに食事シーンが多いのだが、最終的に男は食事の誘いを「断る」ことで終焉する。こんな見事な食事の使い方は森田芳光の『模倣犯』以来見たことがない。これは嘘。

久しぶりに、ほんっっっと、久しぶりに、演出の巧さとストーリーテリングの巧さが噛み合ったスピルバーグ作品。素直に面白かった。緩急の付け方など神業に近い。

「国家と家族」の物語なのだが、「一人の男が狂っていく物語」とも読み取れる。
言い換えれば「魂を喪失する物語」であると同時に「魂を得る物語」でもある。これは『狼よさらば』の系譜だ。ブロンソンだ。
素直に面白かった理由は、政治的メッセージをまるっきり無視しても、充実した物語だからだ。
それ以前に、ハードな『ミッション・インポッシブル』的で面白かったんだけどね。

しかし、『狼よさらば』との大きな違いは、前者が「ある信念に憑りつかれた男」の物語に対し、本作は「信念が揺らぐ男」の物語である点。
だが、国家を守るという「信念」が揺らぐ代わりに、家族を守るという「信念」を得る物語だと言ってもいい。

それにしてもこの映画、True storyをbaseにしたのではなく、True storyにinspireされたのだと冒頭で謳っているのだから(「真実に基づいた物語」というのは誤訳ではないが誤解を与えると思う)、事実をねじ曲げてもいいから、もっと短くてもいいんじゃないか、というのが本当に本当の素直な感想である(inspireは結果論らしいが)。いや、飽きはしないんだけどね。11人は多すぎる。『ミッション・インポッシブル』なら企画の段階でボツだ。

日本公開2006年2月4日(2005年 米)


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