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ホテル・ルワンダ

監督:テリー・ジョージ/場所等/★3(55点)本家goo movie公式サイト

鑑賞中ずっと『ゾンビ』を思い出していた。少なくともシアターN(旧ユーロスペース)でかかるべき映画ではない。
理由は至って明確である。制作者の意図(主張)と手法が食い違っているからだ。

この映画の主張はエンディングの曲に集約される。
「ルワンダのことを話したい」
そして一人でも多くの人に知ってもらいたい。
その意図は、例え「怖いね」の一言でディナーを続けられたとしても、充分に成功したと言えるだろう。
実際、私も「話は」興味深く見たのだから。

ところが残念なことに、この映画の“手法”は、バリバリハリウッドのB級娯楽作品のそれ、まるでサスペンスかパニック映画と同じなのだ。
これでは、観客の興味は「ルワンダの惨状」ではなく「家族が助かるか」になってしまう。
事実を背負った重いテーマのおかげで気付かれにくいが、純粋に映画だけを見れば『宇宙戦争』と何一つ変わらない。
そうなったら“映画”としての勝敗はスピルバーグが勝つに決まっている。

鑑賞中私は、ずっと『ゾンビ』を観た時と同じ居心地の悪さを感じていた。
どこに居てもどこに逃げても助からないんじゃないかという「もういい加減にしてくれー!」という絶望感があった。

その点を誉めるならば、最近の日本映画やドラマの戦争物がいかに愚かかという点と比較ができる。
「誰がこんな戦争を始めたんだー!」的なことをすぐに絶叫したがるが、この映画に関してはそうはいかない。
種族だからね。生れた時点で殺される宿命を背負っちゃってるんだから。
そういった意味でも、生きてるだけで襲われる『ゾンビ』に似た絶望感はあった。
しかしそうなったら、『ゾンビ様』(あるいは『おゾンビ』byはしぼそがらす様)が勝つに決まっている。

なんだって?こんな重い映画に不謹慎なコメントだって?
それもこれも「娯楽作品」の手法だからですよ。
バリバリハリウッド娯楽作品に仕上げる方がよほど不謹慎ですって。

要するにこの映画には、このテーマを支えられるだけの品格が備わっていない。
高級葉巻やスコッチ同様、見せかけの品格だ。
映画は事実を語ればいいってもんじゃない。

例えばこういうことだ。
この映画で多くの人が涙を流すことだろう。
どんなポイントで涙を流すかはその人の勝手だが、この映画は確実に泣かせのポイントを意識している。
その泣かせのポイントまでハリウッド娯楽作品のそれなのだ。
ちなみに私が泣いたのは一ヶ所。雨の中のニック・ノルティ。裏切られた男の気持ちと画面がシンクロした「映画の品格」。ニック・ノルティ最高!
しかし本来あるべき泣かせポイントは、こんな状況下でも無邪気に歌い踊る子供達の姿であるべきだった。
いや、脚本上では書かれている。実際に絵もある。
しかしそれは、ほんの数秒の「風景」だった。
そこで泣かせてこそ「映画の品格」だったはずだ。
姪との再会でおおぎょうな音楽を流すようなのは「下品」だ。

仮に、ミラノ座とかシネコンとかでこの映画を観ていたら、「拾い物のハリウッド映画」として、もう少し高く評価したかもしれない。

余談

どうやらこの監督、過去の脚本歴を見ても、IRAだのナチだのが好きな人らしい。

日本公開2006年1月14日(2004年 伊=英=南アフリカ)



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