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四月の雪

監督:ホ・ジノ/新宿文化/★3(55点)本家gooDB公式サイト

ヨン様目当てで見た(<四月の嘘)
野球に例えて言うなら、コーナーギリギリを突くものすごく丁寧なピッチングを続けていたのに、最後の最後で凡庸な球を投げて大量失点してしまったような映画。
ちなみに、映画館には普段映画館では見られないような人種が大勢いて、正直怖かった。

韓流ブームと呼ばれる韓国ドラマの大半、少なくとも「冬のソナタ」は“大映ドラマ”であると聞く(<見たことない)。一方、ホ・ジノと言えば「まるで小津」の監督である。つまり映画館につめかけた見たことない人種どもは、大映ドラマを見る感覚で小津先生を観に来ているのである。

ところが、大マスコミの「前宣伝」「大量流出情報(ネタばれ)」の助けを借りれば、ホ・ジノの作品は、そんな観客にも分かりやすいのだ。
小津安二郎を信奉する他の監督達、例えばヴィム・ベンダースやホウ・シャオシェン、あるいは進化系のカウリスマキなどであれば、「ちっとも分からんだろ。ざまあみろ!」という楽しみ方ができたものを、あいにくこの作品ではそうはいかない。

例えばこうだ。観客の大半はその“設定”を知っている。だから持ち物の中からコンドームが出てきても「はは〜ん」と思うのだ。だがその設定を知らなければ、そこは「おや?これはひょっとして?」と思わせるシーンなのだ。既知の設定であるが故に気付かないかもしれないが、その設定を観客に知らしめるさりげない流れ、そして「心の穴を肉体で埋めるしかない二人」に追い込む手腕は、それはそれは見事なのである。

こうしたホ・ジノ作品の「過程の楽しみ」を全部すっ飛ばし、大映ドラマを見に来た観客どもは、ワイドショーで知り得た情報の再確認をしつつ「それからどうした?それからどうした?」という興味でのみこの映画を追う。それでヨン様なら言うことなし。「カップラーメン食ってもカッコイイ!」「鼻水足らしてもカッコイイ!」

タレントの人気だけで興行成績が決まるなら、真面目に映画を作るなんてバカバカしい。こうして映画はダメになっていくのだろう。「ヨン様よかったわ」の客は、どんな映画でも「ヨン様よかったわ」と満足して帰っていくに違いない。こんな上等な映画である必要はない。

しかしこの映画、最後のドカ雪で全て台無し。春の淡い雪、掌に乗った瞬間に消えていく雪こそ、二人の恋愛に相応しい結末ではなかったか。

2005年9月17日公開(2005年 韓国)


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