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メゾン・ド・ヒミコ

監督:犬童一心/新宿武蔵野館/★4(69点)本家gooDB公式サイト

犬童一心作品というのが少し分かってきたかも。
そうは言ってもそれほど犬童作品を熱心に観ているわけじゃないんですけどね。
同日『タッチ』を観たことにより著しくその信頼を損ないかけたが、何のことはない、商業映画に不慣れだっただけだとこの映画を観て確信した。

犬童一心監督は、そのインパクトの強い名前とは裏腹に、演出そのものに強烈な個性を持ち合わせない。クセもなければアクもない。とてもナチュラルな演出をする人だと思う。
そのせいだろうか、役者“活き”ている。単に役者に恵まれているだけなのかもしれないが、とても役者の扱いが上手い人なのではないかと思う。

市川準の『大阪物語』の脚本を担当したことで知り合ったであろう池脇千鶴は『金髪の草原』や『ジョゼ〜』で、『黄泉がえり』の脚本を担当したことで知り合ったであろう柴崎コウは本作で、他にも前述した『タッチ』では長澤まさみと、旬の女優を実に上手く活かしている。
これまでも女優を撮るのが上手い監督は大勢いたが、男優までとなるとそうはいない。『ジョゼ〜』のツマブキ君や本作のオダギリジョーは実にいい。加えて脇役陣も絶妙だ。これまた『ジョゼ〜』の上野樹里や新屋英子、本作の田中泯、なにより周囲の老ホモ達が実にいい。老若男女問わず皆の表情がとてもいい。

何故こんなことを延々書いているかと言うと、この映画でもっとも感心したのは、そのテーマやメッセージよりもむしろ、柴崎コウの表情だったのである。
何だろう?複雑な感情が入り交じったあの表情。この映画を観ている最中「これは柴崎コウにしか出来ない役柄に違いない」とずっと思っていた。おそらく、鑑賞直後にもう一度最初から観たらその表情の違いに驚くだろう。それほどその推移は違和感なくナチュラルだ。

「せっかくの役者なのにもったいない」と言われる映画は多くあるが、犬童一心はその役者の「ベストアクト」を常に引き出せる監督なのではないか。この映画を観て、そう密かに期待を寄せている。

2005年8月27日公開(2005年)


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