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座頭市物語




監督:三隅研次/CS/★4(77点)本家gooDB

映画の持つ「気迫」と「風格」。真の様式美。

天知茂演じる平手造酒が、つーか平手造酒かよ!つまり実在の人物:平手造酒のドラマ(「天保水滸伝」だったか?)に人知れず座頭市が一枚かんでましたって、まるで「ゴルゴ13」じゃねーか!ま、そんなことはさておき、、、

天知茂演じる平手造酒が初めて登場するシーンがあります。
溜め池で釣りをする座頭市のそばに平手造酒が歩いてくるシーンです。

カメラは平手の“足音”を映します。太刀を挟んだ帯のきしむ音も描写します。そして市の耳元がアップで映し出されます。
このシーン、盲目の市の“視点”を描写しているのです。
市が感じたのは「誰か来たな。」ということではありません。帯をワンカット挟むことで「侍が来たな。」と感じたことを説明しています。

後々、座頭市は(北野座頭市に限らず)超人化していく、あるいは、盲人であるが故に感性が鋭い(=超人)と我々が勝手に解釈している節があるのですが、この「出会いのシーン」は、まったくもって“論理的”に座頭市の視点を描写しており、“人間・座頭市”を我々に体感させるのです。

さらに「侍が来た」ということを、座頭市と我々観客が知ることにより、「何か起きるかもしれない」緊張感が生じます。ただならぬ「気配」と「気迫」がこのシーンにみなぎります。結果としてこの時は何も無いにせよ、「いずれ何かが起きる」ことを予感させます。
すなわち、この「出会いのシーン」が、そのまま「この映画は二人の対決の物語ですよ」ということをも予感させるのです。

なんという無駄の無い描写。これぞ映画の風格。

この出会いで生れた二人の間の糸は、市自らの手で泣く泣く断ち切ることになる。これが物語の終焉。居合の刀が鞘に収まった瞬間が物語の終焉。リンクする瞬間。

見えを切ったり見た目の美しさを超えた、これぞ、時代劇の「真の様式美」ではなかろうか。

1962年4月18日公開(1962年 大映)96分


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