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男はつらいよ 奮闘篇




監督:山田洋次/場所等/★3(56点)本家

「北の空(海)」「列車(バス)」「倍賞千恵子」これが私の持つ山田洋次の勝手なイメージ

実は『男はつらいよ』シリーズはあまり真剣に観たことがない。
だから勝手に「人情喜劇」の人だと思い込んでいたので、最近の『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』で見せたビックリするくらいのリアルな表現手法に正直ビビッてたじろいだ。そして本作から、その片鱗を垣間見た気がした。

考えてみれば、『家族』『故郷』『同胞』『息子』『学校』という「山田洋次漢字2文字シリーズ」は割と社会派である。
そう思えば、本作がドキュメンタリー風カメラでスタートすることは何ら不思議ではない。そこに山田洋次が持つ「別なの一面」が顔を出したのだろう。否、実はいろんな作品のそここに少しずつ顔を出していたに違いない。『男はつらいよ』シリーズ真剣に観てないから知らないんだけど。

これらに加えて『黄色いハンカチ』やら『山の呼び声』やらも含め、強烈な印象を残すのが「北の空(海)」や「列車」なのである。山田洋次作品は「温かい」イメージがつきまとうが、実は結構厳しい視点なような気がするのだ。ま、私が勝手に言ってるだけですし、舞台は北に限らず今回はバスも有りですけどね。
山田洋次は常に“人情”を描き続けているが、もしかすると“喜劇”は山田洋次のほんの一面に過ぎず、48作もシリーズが続いて“しまった”がため、彼が本来持つ幅広い作家性が損なわれてしまったのではなかろうか。

そしてなんと言っても倍賞千恵子こそ、山田洋次にとってのマドンナなのではないかと思うほど印象に残っている。ま、一番印象に残ってるのは『霧の旗』なんですけどね。

『男はつらいよ』シリーズのコメントを全部読んだわけではないので既に誰か指摘されているかもしれませんし、既に多くの方は気付いているのでしょうけど、私は本作を観て今更ながら初めて気付いた点がありましてね。
このシリーズって、本当の主役はサクラなんじゃないかと。まあ、正確には「語り部」なのでしょうけど。
「寅さんがあれこれする物語」ではなく「妹が兄を見守る物語」なのではないかと。
だって、寅さんに感情移入して観ている観客が一体どれだけいるだろう?
多くの人は「サクラ側の視点」で寅さんを見守ってやしないか?

シリーズ中でも異質だという終盤の展開一点突破で、「山田洋次の作家性」と「倍賞千恵子真のマドンナ説」を唱えてみました。

1971年4月28日公開(1971年 松竹)92分


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