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宇宙戦争

監督:スティーヴン・スピルバーグ/新宿オデオン座/★3(48点)本家gooDB公式サイト

画面(えづら)は巧いが、燃えるものがない。
やっぱりスピルバーグは巧い。
序盤、高速か何処かを自動車かっ飛ばしてダコタがワーキャー騒ぐシーンがあるのだが、私の記憶ではワンカット(アルシュさんも指摘していらっしゃるので間違いないと思う)。無茶するなオイ。あり得ないカメラワークから推測するに、あの移動する背景全部合成かよ!モーションコントロールかよ!凄いなオイ。(<こういうことに気が行ってる段階で、既に物語に感情移入できてない)

スピルバーグ映画はいつも「やっぱりスピルバーグは巧いなあ」と思う“ショット”が山のようにある(「巧いなあ」と思う“シーン”は意外と少ないのだが)。仮にこれを「やっぱりスピルバーグは巧いなショット」と呼ぶことにして、実は『プライベート・ライアン』辺りから少し様子が違う気がしている。

それまで1ショットに付きほぼ1つだった「やっぱりスピルバーグは巧いなショット」が、『プライベート・ライアン』辺りから1ショットに付き3つも4つも5つも6つも盛り込まれているのである。「巧いなあ」などと思わせる余裕すら無く畳みかけ、観客が感じるのはただ「凄い」の一言。これが最近のスピルバーグの特徴。

ところが残念ながら、観客の眼は慣れてくる。制作側も次第に手が尽きてくるのかもしれない。「えー?それって『ジュラシックパーク』でも『マイノリティ・リポート』でも同じことやったじゃん!」とか言われてしまう(<俺に)。最近のスピルバーグ作品に多い「序盤は良いんだけどね」評は、テーマ的なこともさることながら、こういう所にもあるのかもしれない。

そういうわけで、非常に巧みな“恐怖演出”ではあるのだが、パニック映画としてどうかと問われるとどうかなあ?だってさあ、「不死身出演契約」してるスーパースター・トム様なわけですよ。「水戸黄門」並に安心感たっぷりで見られるわけです。例えばこれが【スティーブ・ブシェミ】だったらハラハラします。本当に死んじゃうかもしれないと思うわけです。そんな見るからにダメ親父が家族のために立ち上がる!今までダメだと思っていたオヤジが輝く!これなら燃えます。燃えまくりです。(そういやスピルバーグって常連俳優がいないな)

確かに、こうした大規模な話で一人称視点は珍しが、映画的にはそう珍しくなく、思い起こせば『ゾンビ』や『エイリアン』の方が圧倒的に「もうどうにでもしてくれ」と思うわけです。無慈悲な生命体との無益な対決は『スターシップ・トゥルーパーズ』の方が燃える上に考えさせられることが多いわけです。少なくともこの映画を見る限り、こんな状況でもアメリカ人は心のどこかで「勝てる」と思っているわけで、『日本沈没』のような絶対的な敗北感、あの丹波哲郎までもが涙するような絶対的敗北はここにはなく、国家や民族について思いを馳せることもない。むしろ『マーズ・アタック』の方が深い。

意外だったのは「神」を口にする者がいない点で、意図的なのかどうか、あるいはアメリカにはもうそんな人間はいないのかどうかは知りませんが、避けて通っていいんですか?
有史以前からの仕込み、人智の及ばぬ微生物の配剤といった、正に「神の領域」がSFネタであるにも関わらず、娯楽だからって避けて通っていいんだ。ふーん。ていうか、娯楽のせいにして逃げてねえ?

そんなこんなで、パニック映画としては如何なものかと思うのですが、ちょっと視点を変えるとそれなりに面白く見えたんです。

これって『ペーパームーン』じゃない?

2005年6月29日公開(2005年 米)



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