正直言って、まるっきり話忘れてました。
映画は、そりゃヒドイもんで、後ろの席の輩が「オムニバス!オムニバス!」と騒いでいたけど、それは多分「ダイジェスト」の誤りでしょう。ダイジェストかオムニバスか分からなくなるほどの超ダイジェスト。
ダイジェストを超えたわけですから、テレビシリーズはおろか設定すら知らない人がついていけるはずがない。
人物描写が甘いんじゃなくて、人物なんかまるで描いていない。そのくせ次から次へと人が出てくる。話も何もあったもんじゃない。
でも面白かったんだな。
はしょられた物語を脳内で補完している自分がいる。断片的なエピソードを記憶でつなげている自分がいる。
なんだ。覚えてるじゃないか。
他人に話して聞かせることは出来ないが、抜けを補完する程度には覚えている。20年経た今でもこの身体が覚えている。
なんてこった。当時高校生だった私にとって、あれだけ頭に叩き込んだ数学の公式なんか忘却の彼方だというのに。
ファーストガンダムを壮大な「ホモドラマ」に押し上げたのかと思うほどのラストシーン。
本作は単に『Z』の序章ではない。ファーストの真の完結編だったのかもしれない。
エンディングスクロールを見ながら私は思ったのだ。
「この映画を観て良かった。」
観客の“愛”(それもファーストとZを追った者だけ)に頼らざるを得ない出来にも関わらず、オムニバスだかダイジェストだか分かんなくなっちゃう1時間30分が仮にナレーション処理だったとしても、「この映画を観て良かった」と私は思ったろう。
2005年5月28日公開(2004年 日)95分
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