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父、帰る

監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ/飯田橋ギンレイ/★3(51点)本家gooDB公式サイト


宗教的、神話的モチーフに満ちているそうだが、そんなことは全く分からん。人間の業としてならよく分かるぞ。

子供引っ張り回してなんだか大切そうな小箱探すんだったら12年間ほっつき歩いてた間に探しゃよかったろうに、、、というのは間違いで、急に帰ってきて急にあれこれ活動するということは、この12年間には出来なかったと考えるのが自然だ。おそらく投獄されていたかシベリア送りにでもなっていたのだろう。

このズベ、ズビョ、ズビャギンチェ、あー、言いにくいし書きにくい!この監督、なかなか計算高い男に違いない。

小箱が何であるかは、ヒッチコックの鞄と同じで意味のないことなのだろう。父親の行動目的のための小道具でしかない。物語に関係がなければ語る必要はない。

しかし、12年間不在だった理由は語らない必要がある。
仮に「投獄説」が正しかったとして、例えば殺人犯だとしたら、子供に感情移入バリバリのサスペンスになっていたろう。例えば政治犯など罪なき罪人だとしたら、父親に感情移入バリバリでむしろ理不尽なのは我が儘なヘタレ&マヌケ兄弟だと思っていたろう。12年間も放っておいたからダメ息子になっちまったんだよ!とか。
ましてや、その理由を明かして親子が和解する物語など今さら監督は望んでいない。そんなメロドラマは旧ロシア時代に山ほどあったのだから。

おそらく「実質的な親子関係の無い親子」という設定だけが重要だったのだ。

そこにあるのは権力にも似た主従関係。言い換えれば国家と地方の小都市。ソビエト連邦と同じだ。引いてはそれが人間の業にも通じる。

ふてくされる弟がツッパリではなくヘタレであることも、わずかな武力(ナイフ)を手にしただけで強気になるのも、その浅はかな抵抗がもっと大きな悲劇を生むことも、そして、失って初めてその大切さを知ることも、総て、人間の愚かさ、罪深さ、業なのだ。

こうしたロシア文学にも似たテーマの描き方や映像の作り方を見る限り、今後も期待したい監督だ、このズベ、ズビョ、ズビャギンチェ、あー、言いにくいし書きにくい!

日本公開2004年9月11日(2003年 露)


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