September 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

グッバイ、レーニン!

監督:ヴォルフガング・ベッカー/飯田橋ギンレイ/★4(68点)本家公式サイト

小僧の浅知恵が形になる時
良く出来た話だ。
それは感動的であるとか良くまとまっているとか、そういうことではない。
多面的な物語性(ストーリーという意味ではない)を持っているという点に於いて良く出来ていると思う。

親子の物語であり、家族の物語であり、国家の物語であり、思想の物語であり、アイデンティティーの物語であり、虚構と現実の物語であり、男と女の物語であり、青春の物語であり、いろんな切り口から語りがいのある映画だ。

そこで私の切り口は「小僧の浅知恵が形になった映画」という点である。

ストーリーまんまだが、ここで言う小僧は主人公の少年ではない。監督:ヴォルフガング・ベッカーのことである。この監督がどういう人か全く知らないが、明らかに“映画小僧”に違いない。

キューブリック?はいはい。階段の手前の乳母車?はいはい。
でもねえ、この映画小僧の作った映画はあんまり映画的な絵ヅラがない。唯一あるとすれば、ヘリに釣られたレーニン像。ここだけメチャメチャ“映画”していた。こんな凄い絵ヅラ一体誰が思い付く?思い付いたんですねえ、フェリーニが。『甘い生活』そのまんま。

つまりこの映画の発想の根源はここにあるのではないかと思う。多面的な物語性は実は総て後付けの結果で、本当は実際のレーニン像取り壊しを見て「この絵撮りてえ。フェリーニやりてえ。」ってのが最初だったんじゃないか?と。
そして、映画小僧の浅知恵が映画という形になっていくのと、映画の主人公の浅知恵が虚構且つ理想の国家という形になっていくのが(結果として)リンクしたのではないか、と。

ところが、キューブリックだフェリーニだ『ポチョムキン』だ(好きな監督はトリュフォーだそうだ)などと言ってる映画小僧は「常識人」なんですな。この映画のいい所は「常識人が考えた」破綻のなさであり、この映画のダメな所は「常識人が考えた」こじんまり感なのです。
同じ“映画小僧”なら深作だ「影の軍団」だ石井輝男だヤッチマイナ!と言ってる「頭のオカシイ」映画小僧の作る映画の方が、パワフルで狂っていて観ていて面白いんだけどなあ。ま、付き合いたいとは思いませんが。

個人的には、同じ“赤”でも時代(?)が変われば、“共産(社会)主義”の色が資本主義の権化みたいな“コカコーラ”の色になるってのが、映画的で面白かった。

日本公開2004年2月21日(2003年独)121分


comments

   

trackback

pagetop