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麦秋

監督:小津安二郎 /BS録画/★4(78点)/再見→/gooDB

カメラのフレームの中と食卓という輪の中を人が出入りする物語。
ま、小津の映画は大概そうなんだけどね。

冒頭。鳥籠のショット。鳥の餌を用意するおじいさん。フレームインしてきた孫が、朝食の準備が出来たことを伝える。そのままフレームアウトする孫。カット変わって階段から降りてくる孫。台所の母との会話。そして食卓へ。食卓にいる原節子。その背後では身支度をする笠智衆。もう一人の孫(弟)が加わり、顔を洗ったの洗わないのという会話から、弟は洗面所へ。洗面所で顔を洗うふりをして再び食卓へ戻る弟。おじいさんも加わり、笠智衆の出勤がいつもより早いなどと何気ない日常会話を繰り返し、「気になる患者が」という一言で医者であることを観客に分からせつつ、母と共に玄関へ。食事を終えた孫(兄)が食卓を後にし、入れ違うように祖母と母が食卓に加わる。

わずか数分のうちに、思っていた以上に多くのカットを使って、この家の家族構成と間取りを全部明かしてしまう。
それも無意味なショットは一つも無い。全て人の動きをカメラで追う形で(正確には待ち構えているカメラのフレームの中に人が入ってくる形で)。

そして(私は長いこと勘違いしていたのだが)この冒頭の食卓シーンでは、全員一堂に集まらないのだ。
小津はこの映画で輪廻を描こうとしたという。
まさに、この食卓こそ輪廻の舞台なのだ。
食卓に人々が出入りし、何気ない会話や重要な話をし、笑い、泣き、そして去っていく。

「一番幸せな時」という祖父の言葉。今の全員が一堂に会する「一番幸せな時」は写真に収められる。そして映画の終盤で、初めて全員が食卓を囲むのだ。

(1951年日)


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