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ジョゼと虎と魚たち

監督:犬童一心/新宿シネマミラノ/★4(70点)gooDB公式サイト

どうも、妻夫木聡です。
(レビューにはこの映画を好きな方を不快にさせる表現があるかもしれません)
皆さんご存知の通り、僕っていい男じゃないですか。優しいし。だからセフレもいるし、好きになってくれる娘だっているんですよ。
それに繊細って言うか、感受性が強いって言うか、些細な事にも面白がれるところがあって、出汁巻卵の美味しさとか、ほら、金井なんとかって後輩、教科書捨ててたSの奴、あいつに会った時の感動って言うか、それにいろんな事を思い出しちゃったりして、なんか、そういう性格なんです。だから、一番の衝撃は乳母車に乗った少女に出会ったことなんです。「あの雲もって帰りたい」なんて言われたらグッときちゃうじゃないですか。

それに意外と責任感が強いところもあって、バイト先の店長の飼っている犬が産んだ仔犬の引き取り先を探したりとか。だから僕が責任とらなきゃいけないような気がしたんです。
だって、ゴミ一つ捨てるのにオッパイ触らせたりしてるなんて言うんですよ。そんなの辛いじゃないですか。耐えられないじゃないですか。「僕がついててあげなきゃいけない」そう思っちゃったんです。

あの時だってそうです。一時は付き合った彼女が街角で安いキャンペーンガールやってるのを見た時。彼女ったら、福祉の仕事を目指してたくせに「身障者のくせに」なんてひどいこと言うんですよ。でも僕、怒れなかった。本当にジョゼを愛してるなら怒って当然だった。でも怒れなかった。それよりも、僕のせいで人生を棒に振ってしまったという彼女に責任を感じてしまったんです。

水族館は閉まっていました。僕とジョゼは本物の魚を見れませんでした。代わりに僕達が見たのはラブホテルの装飾の水族館「のようなもの」でした。
僕達の恋愛も同じだったのかもしれません。それは本物ではなく「のようなもの」だったのかもしれません。性欲と食欲だけ(というと言い過ぎですが)の僕は、本物の恋愛を見つけた「気になっていた」だけなのかもしれません。
きっと彼女も同じです。本の中で読みかじった知識を、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ「実物」に触れただけなんです。

彼女を一生背負って歩くことが重かったんです。彼女を支え、与え続けるだけの愛が重荷だったんです。
逃げ出すくらいなら最初から関わらなければいいって言う人もいるかもしれません。
そう言う人はきっと大人なんでしょうね。男と女の関係の先が読めるなんて人は、完成された大人か恋愛を知らない人なんでしょう。

風の便りに、彼女が車椅子を使っていると聞きました。
彼女が自分の力で動き、新しい物を見聞きしていると思うと、ちょっと嬉しくなります。

2003年12月13日公開(2003年日)1時間56分


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