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この世の外へ クラブ進駐軍

監督:阪本順治/新宿ピカデリー3/★3(57点)gooDB /公式サイト

これは阪本順治による言葉足らずな反戦映画だ。俺達はこの世の外へ行けたのか?しかし大阪から外へ出たのは正解だったか?
ラッキーストライクのマークの如く、周囲を囲まれたこの国の我々は50年以上経った今、この世の外へ行けたのか?朝鮮戦争の時と同じように、飲み込まれたまま間接的に戦争に加担しているのではないのか?戦争が銃後の生活にどれだけ影響を及ぼすか忘れてはいないか?

『仁義なき戦い』(私は未見)以来の阪本順治群衆劇。
絵面の巧さとは裏腹にストーリーテリングはあまり巧くないため、いささか散漫な印象で、各人の描き込みも浅い気もする。しかし、あえて阪本順治を擁護しよう。
おそらく阪本映画最高の制作費を投じたであろう本作は、角川大映との共作のせいなのか、『王の奇観』の大宣伝で松竹の広告宣伝費が底をついたのか、悲しいかなほとんど宣伝もされず扱いも小さい。だからこそ、阪本順治に甘い私が大擁護しようというわけだ。

この作品の中心は「街」なのだ。

焼け野原から闇市が活気を持ちはじめ、次第に復興していく街。
そこに群がる人々を介して、街を、そして時代を切り取っていこうというのが意図であるに違いない。そしてその延長線上に今の我々がいる、彼はそう言いたかったに違いない。
これは郷愁のためでもありきたりの反戦でもなく、今を、そして未来を見据えた「描写」なのだ。

そのせいかどうか知らないが(多分関係ない)、時代を忠実に再現しようとする懸命さが、私にはかえって「上品」に写ってしまった。
もっと猥雑でいい。必死に生きる人々にもっとバイタリティーがあっていい。
なぜJAZZだったのだ?なぜ舞台を関東にしたのだ?大阪を舞台にした映画の時には、バイタリティーある人間の生き様をもっと描けてたじゃないか。
いくら「街」を描こうとも、人間の「活力」が描ききれていないため、観ている者は昇華(消化)不良なのだ。きっと、話が散漫に見えるのはそのせいなのだろう。

なんだ、たいして擁護してねえじゃねえか。

2004年2月7日公開(2003年日)123分


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