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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

監督:押井守/CS/★5(97点)/再見↑/gooDB

年を重ねるほど、観る回数を重ねるほど面白さが増す
攻殻機動隊

(本家未記載コメント)

生命体とは何か?生命の定義とは?ということはアイザック・アシモフも書いている興味深い話で、脳死に関わる問題などで現実世界でも未だ結論の出ていないテーマである。
実に興味深い。
ジョーチップさんが「日本人のサイボーグ願望」という話を書いていて、これもまた興味深く読ませていただいた。

プチ整形など人体に手を加えることへの抵抗が薄くなった現在、義体というものは絵空事ではなくなっている。実際、私の前歯2本は差し歯である(<そんな次元かいっ!)
義歯はまあいい。仮に私がコンタクトレンズを使用している場合はどうだろう?知人に顔面複雑骨折して、未だに顔の中に針金(て言うのか?)を埋め込んで顎か何かを支えているという者がいる。じゃあ義肢はどうだろう?もちろんそれを動かすのはリモートなんかじゃない。自分の脳神経からの信号だ。ペースメーカーはどうだ?発声機は?

現代科学に於いて、人間の持つ機能のほとんどが機械(義体)で代替できてしまう。
残るのは「脳」だけだ。
ところが意外なことに、大型計算機の時代から「記憶」「計算」といった脳の持つ機能の一部は、早々に機械に譲り渡していたのだ。それもプラスアルファの方向で。

どういうことかと言うと、(障害をマイナスと言うことに抵抗はあるがあくまで機能面に於ける便宜上の位置づけとご理解いただきたい)現在、義体はマイナス面を補うために存在する。弱い視力を補正する、動かない足を補正する、といった目的で使用されている。
だが「脳」は違う。
通常の人間ではできない量や速さを機械に求めているのだ。マイナスの補正ではなく、プラスへの転化が目的となっている。
そこにネットワークが加わる。その情報量は1つのスパコン相手に人間が対応していた量の比ではない。世界中の大量の情報が一つにつながるのだから。

ここで私が気になるのはプチ整形である。
これはマイナスの補正か?私はプラスへの転化ではないかと思っている。
つまりどういうことかと言うと、脳ばかりか肉体までも、プラスへの転化のための義体が取り入れられるのもそう遠い将来の話ではないのではないか、ということである。

少し話が横道に逸れたが、そうすると生命体が機械に勝てるのは「思考」しかないのかもしれない。
コンピュータが思考するのは古くからSFで取り扱われているが、実際は記憶された大量のデータから高速で計算した結果にすぎない。
ところが全ての生命体が思考しているかというとそうではない。単細胞生物は立派な生命体だが、思考する能力は持ち合わせていない。思考は生命の定義とは無関係なのだ。
だが、思考が生命体の一つの「要素」足り得ると仮定してもなお、この映画は「人形遣い」によって、その優位性すら奪ってしまうからやっかいだ。

とすると、生命体と電脳体との違いは唯一「遺伝子」だけということになる。
正確には、DNAそのものは「記憶」でしかなく、それは先に述べたようにコンピュータの前に敗れ去っているのだから、生命体唯一の優位性は「子孫を残すこと」だけということになる。
私の説明が下手なので分かりにくいかもしれないが、この映画における「人形遣い」の論理は非常に明快なものなのだ。

つまり私がこの長い文章で何を言いたいかというと、生命体が持つ唯一優位性のある機能「子孫を残す」こととは、すなわち「エロ」だ。
この世に必要なのはエロだ。ええっ!?そんな結論か!?

(1995年日)


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