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レイニーデイ・イン・ニューヨーク



『ティファニーで朝食を』の本歌取り。オジサンはこういう映画脳を刺激する作品が観たいんですよ。

監督:ウディ・アレン/恵比寿ガーデンシネマ/★4(77点)本家公式サイト

エル・ファニングにセレーナ・ゴメス、ティモシー・シャラメ君なんてね、広瀬すずと小芝風花に横浜流星みたいなもんでウヒウヒなわけですよ。そんな広瀬すずじゃなかったエル・ファニングに「お姉さんも美人?」って聞く映画なのです(<どーゆー映画だ)。

ウディ・アレンくらいの達人になると「ちょっと風変わりかもしれないけど頭もいいし彼って最高なのよ!」なんてベタ褒めしてくれる女性より「アンタのキスは10段階の4レベル」みたいに罵倒されたいって話です(<違う)。

エル・ファニングがコート一枚で傘も持たずに雨の中に投げ出されます。次の公式は皆さんご存知の通りですね。

コート+雨=『ティファニーで朝食を』

そうです、この映画は『ティファニーで朝食を』の本歌取りなのです。
(シャラメ君の役名はギャツビーですが『華麗なるギャツビー』の本歌取りではありません。それを本歌取りしたのは『カフェ・ソサエティ』です)

『ティファニーで朝食を』自体は大した映画じゃありませんが、「雨のキスシーン」を世界で初めてやった映画じゃないかと私は思っています。
私はその本歌取りに気付いた時(だいぶ終盤ですが)、ラストシーンが予想できましたし、ラストシーンを楽しみにしていました。
そしたらタクシーじゃなくて馬車なのかいっ!しかもソッチとかいっ!本歌はクレーンでカメラが上昇したと記憶していますが、この映画は下からあおるんかいっ!

考えてみれば、映画のエキストラのシーンで雨が降り始めるんですよね。再会も雨のタクシー。そう考えるとお洒落だな。

『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘップバーンは憧れの大都会ニューヨークに出てきた田舎娘でしたが、その設定はエル・ファニングに重ねられます。
しかしオードリーが隠していた暗い素性は持ち合わせていません。裏表のない素直で薄っぺらい田舎の大学生。こんなダサくてイモっぽいエル・ファニング見たことない。イモ・ファニング。

暗い素性の部分は、実はシャラメ君の母親に反映されます。
そう考えるとこの映画は、ホリー・ゴライトリーの後日談にも見えてくる気がしませんか?しませんか。ああ、そうですか。

追伸

西海岸の好天より曇天や雨のニューヨークが好きだって、既に『アニー・ホール』で言ってなかったっけ?



日本公開2020年7月3日(2019年/米)

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