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ペイン・アンド・グローリー



まさかアルモドバルに感動して涙する日が来るとは思わなんだ。

監督:ペドロ・アルモドバル/TOHOシネマズ シャンテ/★4(80点)本家公式サイト
 
どうやら作家というものは、自己と向き合い、悩み、自分を形成した過去に立ち返るものらしい。
新型コロナウイルス騒動でさらに加速したと言われるが、トランプ政権以降、世界で「分断」が進んでいる。他者を攻撃する者に最も欠けているのは「内省」だと私は思う。人はもっと内省した方がいい。

私は、この映画が自伝かフィクションかを問うつもりはない。
ただ、70歳になって老境の域に差し掛かったアルモドバルが、死を意識し、自らの人生と向き合おうとしていることは分かる。そういった意味では自伝的要素のある作品なのだろうし、フェリーニが脂の乗り切った40歳代で撮った『8 1/2』の映画監督の苦悩とは意味合いが違うと思う。

しかし一方で、話が綺麗にまとまりすぎている。
あまりにもいい話で、あまりにもいろんなピースがピタッとはまる綺麗な構成で、私は感動のあまり涙したくらいだ。こんなもんフィクションに決まっている。

主人公は常に「まどろみ」の中で過去の自分と向き合い、少年時代には熱射病の「まどろみ」の中で覚醒する。
そう考えるとこの映画自体が、映画監督が覚醒(再生)するまでの「まどろみ」期間を描いた物語なのかもしれない。

なんだかもう、珍味監督(私しか言っていないが)なんてのは遠い昔。今やすっかりスペインの巨匠呼ばわりされているペドロ・アルモドバル。この作品も「巨匠が肩の力を抜いて撮った佳作」的な雰囲気が漂っている。巨匠っぽい作品なんか今までもないのに。



日本公開2020年6月19日(2019年/スペイン)

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