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デッド・ドント・ダイ



安い。「豪華なのに安っぽい」という作風は狙いだろうけど、ジム・ジャームッシュの訴えるテーマや精神性が安い。
監督:ジム・ジャームッシュ/ユナイテッド・シネマとしまえん/★3(52点)本家公式サイト
 
私はジム・ジャームッシュ作品をあまり観ていないので、その作風というか人物像というか、正しく理解していないんです。ビル・マーレイには教えないけどアダム・ドライバーには台本を見せちゃうような人物なのかどうかも。

観てないけど『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』はバンパイヤ物だったそうだから、ゾンビも好きなんですよ、きっと。私が最後に観たジャームッシュ作品は『リミッツ・オブ・コントロール』だったんですが、あれは殺し屋だった。
要するにこの人が(特に最近)やってることは、殺し屋だ吸血鬼だゾンビだと「B級の題材」で何やら「高尚なメッセージ」を伝えることなんじゃないかと思うのです。

しかし、現代人をゾンビに重ね合わせるメタファーも今さら感がある上に、世捨て人トム・ウェイツに「物質主義に囚われた人間どもめ」みたいなことを言わせちゃうのが、ものすごく安っぽい。
どうして、最後の最後にこれ見よがしに言葉で説明しちゃうかね?だから「あーあ」って思っちゃうんですよ。

せっかくブシェ〜ミを強欲白人主義者として登場させてるんだから、いっそ早々と「現代人は生ける屍。まるでゾンビだ」って言っちゃえばよかったのに。その後本当にゾンビが出てきた方がコメディだったと思うんですがね。
なんならトム・ウェイツは説教たれずに、ゾンビで溢れかえる街を双眼鏡で見ながら「デッド・ドント・ダイ」をただ口ずさむだけでよかったのに。



日本公開2020年6月5日(2019年 スウェーデン・米)

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