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音楽



これはロックだ。これがロックだ。


監督:岩井澤健治/ユジク阿佐ヶ谷/★5(90点)(本家/公式サイト
監督が一人で7年も時間をかけて作画したという。その行為自体がロックだ。
しかしその努力は作品の面白さに直結するものではないし、観客は知らなくてもいい話だ。
「だから凄い」というような評価の仕方はしたくない。それはロックじゃない。
むしろこの映画を支えているのは、その音楽スタッフにあるように思う。

ジャーン!

「オオッ!」

これが全て物語っている。
蒼井優先生は『フラガール』で「最後の私の踊りに説得力が無かったら映画がぶち壊しだ」と思ったという。私が蒼井優「先生」と呼ぶようになったきっかけだ。
この映画も同様に「ジャーン!」に説得力が無ければ、「オオッ!」が観客の腑に落ちない。
この「音」が全ての動機であり、彼らの「演奏」が物語の全て。
「音」の説得力が映画の全てを支配しているから、実写化不可能とまで言われたのです。
上手過ぎず下手過ぎず、映画の登場人物に合った本当に見事な演奏。
奇跡の声だというボーカルをなんと「無音」で処理した『BECK』というバンド映画の酷さを思い出したよ。

登場人物たちもロックなんです(不良少年だからということではなく)。
女にモテたいとか、格好いい演奏したいとか、会場を満員にしたいとか一切ない。
なんなら「自分たちが気持ちいい」とか「感動した」ということも口に出したりしない。「なんか良くね?」くらいの感じ。ロックですよ。正しいロック。ピュアな音楽体験。原始ロック。

そう考えると、奇跡のボーカルを無音処理した上に「会場を満員にしたら勝ち」「勝ったら俺の女」みたいな勝負事でしか表現できなかった商業主義にまみれた『BECK』がだんだん憎らしくなってきた。この映画を7年間観続けて勉強しろ。

余談

よく、売れたミュージシャンが不倫して不遇時代を支えてくれた奥さんを捨てたりするじゃないですか。ミスチル桜井とかゲスの川谷絵音とかグレイTERUとか。簡単な話で、「ジャーン!」「オオッ!」じゃなくて「女にモテたい」が音楽を始めた動機だからなんですよ。逆に言えば動機に忠実だと言ってもいい。しかしロックじゃない。芸のためなら女房も泣かすなんてのは演歌。

余談2

俺、金子修介『プライド』でも『BECK』の文句言ってるな。



2020年1月11日公開(2019年/日)

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