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ハウス・ジャック・ビルト



この映画を賞賛できるほどの教養が私にはない。せいぜい小坂明子とか言い出すくらい。一言でいうなら「知らんがな」映画。
監督:ラース・フォン・トリアー/ヒューマントラストシネマ渋谷/★2(40点)本家公式サイト
カンヌ映画祭では途中退席者続出の一方で、最後まで観た人はスタンディングオベーションだったという“売り”の映画。てゆーか「ラース=問題作」っていう定番ネタですわ。

何がそれほど途中退席させたのか、私には分かりません。
スプラッタとかホラーとか、ああいった類の下品で悪趣味な代物ではないんですけどね。
むしろ洗練されていると言ってもいいくらい。映画の完成度はメッチャ高い。

逆に何が“賛”なのかも分かりませんでした。
「もしも私が家を建てたなら」という映画なのかと思ったくらいですもん。あるいは「もしもピアノが弾けたなら」。こんな季違い話に引っ張り出されてグレン・グールドも気の毒だ。
終わってみれば小坂明子でも西田敏行でもなく(<当たり前だ)、ダンテの「神曲」なんだって。
知らんがな。
正直最後30分は何を見せられてるんだかチンプンカンプン。
ましてや原題「THE HOUSE THAT JACK BUILT」がマザーグースの一曲だなんて知る由もない。知らんがな。

しかし、「分からない=ツマラナイ」というわけではないのです。
いや、つまらなかったんだけどさ。んー、正確には退屈だった。途中、ゴダールかと思った。

前作『ニンフォマニアック』2部作もそうだったんですが、対話形式で構成されます。私はこれがツマラナイ原因じゃないかと思うのです。
というのも、「対話」によって何かが明らかにされるわけじゃない。
実はこれ、何も解き明かさない「自己対話」、言っちゃえば対話の体裁をとった「主張」あるいは「ひとりごと」。

要するに、やれ貴腐ワインだ芸術論だ「神曲」だと「オッサンの教養自慢」を延々聞かされているわけです。
キャバ嬢だったら「へー、すごーい」と言いながら腹の底で「知らんがな」と毒づいているような話なのです。
ゴダールのモノローグよりたちが悪い。



日本公開2019年6月14日(2018年/デンマーク=仏=独=スウェーデン)

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