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バースデー・ワンダーランド



「るるぶ」か「ことりっぷ」片手の女子旅。そこにはワンダーも無いし、観る者を前のめりにもさせてくれない。

監督:原恵一/シネマサンシャイン池袋/★2(30点)本家公式サイト
アリスやオズや千尋は理不尽に異世界に放り込まれますが、この映画は別世界に連れて行かれる「理由」を懇切丁寧に「説明」されて、水先案内人ばかりか旅慣れたお姉さんまで同行し、旅の目的も「説明」されて地図も交通手段も与えられ、宿泊や食料も全く不自由せず、世界が困っている「理由」も懇切丁寧に「説明」された挙げ句、その解決法も「理由」を添えて「説明」される映画です。
説明に次ぐ説明。理由に次ぐ理由。あまつさえ「説教」まで始めるんですよ。あり得ない。逆にワンダーだわ。こんなもんが冒険だなんて言われたら、アリスやオズや千尋は草葉の陰で泣いてますよ(<勝手に殺すな)。アリスも言ってるじゃないですか。あなたは稲妻のように。ユア・ローリン・サンダーって(<そういうネタよくない)

原作がそうなのかもしれませんが、なぜ一人旅じゃなくて旅慣れたお姉さんを同行させたんだろう?最大の疑問です。
これが水戸黄門の由美かおる的お色気担当だったら分かるのですが、特に入浴シーンもない。
劇場版ドラえもんのように同年代の仲間で困難を乗り越える方がマシな気がします。なぜ「可愛い子には旅をさせろ」ではないんだろう?どういう価値観なんだろう?

穴に落ちるとか竜巻に飛ばされるとか、異世界に行くのは“縦移動”が基本です。縦が空間で横が時間ね。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」ですら(動いているんだか動いていないんだか分からない)エレベーターから物語が始まるし、デロリアンは横移動で時間を超えるのです。
確かにこの映画も地下室へ歩いて降り、塔の上から歩いて階段を降りる“縦移動”なので、原恵一は分かっていないわけではない。おそらく自らの足で“歩く”ことに意味があるのでしょう。
つまり、受動的ではなく、能動的な行動に意味があると考えるべきです。
ということは、「理由」をきちんと「説明」すれば人は「能動的」に行動するって話なのか?山本五十六かっ!

んー、でもなあ、なんだかいう儀式に間に合わせるための「時間」を意識した“横移動”は車だし、魔法の燃料も使っちゃうしなあ。
いやあ、いろいろ気になっちゃったんですよ。
カメラの細かい移動とかピン送りとかが高いアニメーション技術の披露にしか思えないとか。
画面いっぱいでトーストにバターとママレードを塗るけど、必要な描写かなあ?とか。
「栗のスープ美味しい!」急に具体的!(<霜降り明星風ツッコミ)。
そこまで不自然に強調して食事を描写するならば食べ物が物語を読み解く鍵のはずなんだけど・・・その後、一切出てこないなあ。

いや、そもそもさ、水不足なんだか色不足なんだかセーターの販売不振なんだか知らないけど、その世界の危機とやらをちゃんと見せてくれないかな?



2019年4月26日公開(2019年/日)

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