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井上陽水 50周年記念ライブツアー『光陰矢の如し』〜少年老い易く 学成り難し〜



めちゃくちゃ前の方で、コーラスの素敵なお嬢さんたちを楽しく眺められました(<そこかよ)

at NHKホール
ライブレポートも多数ネット記事になってますな。
Billboard Japan 井上陽水、50年の軌跡を辿るツアーでヒット曲を惜しみなく披露
エンタメRBB 井上陽水、50周年記念ライブツアーでヒット曲を次々披露!
MusicVoice 井上陽水、光陰矢の如し 卓越された世界観を魅せた50周年ツアー東京初日

「ヒット曲を次々披露!」とか「惜しみなく披露!」とか書かれてるけど、ほらもう別次元の人じゃないですか。結果、十把一絡げで(と言ったら語弊あるけど)メドレーですよ。そのくせオープニング曲はまさかの「あかずの踏切」。ラスト近くで「夜のバス」とか。誰が知ってんのさ級の曲をぶち込んでくる。アンコールで「御免」とか。いやいや、「ジェラシー」や「とまどうペリカン」をメドレーにしてまで歌う曲かいっ!

でもこれが陽水なんです。
生誕70周年、デビュー50周年、それも一発屋じゃなくて2度も3度も陽水ブームを起こしている(私は陽水ブームは4,5度あったと分析している)から有名曲・おなじみ曲でいっぱいいっぱいなんです。ここ数年アンコール曲はパターン化し、最後に「夢の中へ」「傘がない」を聞いてお客様にご納得いただいく。やっぱり「少年時代」「リバーサイドホテル」「氷の世界」なんかは必ずやらなきゃいけないよね、とかあるわけですよ。

そんな中、予想外の曲をねじ込んでくるのが好きなんです、彼は。
ここ最近はおなじみ曲だけで終わっちゃう時もあって、私は少々つまらなく思っていた(それで数年参戦しなかった)のですが、久しぶりにぶち込んできたね。「御免」は時々歌ってるけど、「夜のバス」はテレビも含めて歌ってるのを初めて見た。50周年記念ライブツアーで2thアルバムのB面の最後の曲なんか放り込んでくるかね、普通。「ブラタモリ」の主題歌&挿入歌まで歌い、Puffyの「アジアの純真」まで歌う。おそらく本人には“いま歌いたい曲”があるんです。“おなじみ曲”に飽きてるんですよ。

今回改めて思ったのですが、井上陽水は天才です。
天才って目の当たりにしたことあります?この人なんですよ。
薄々気付いてはいたんですがね、断言します。天才です。

上述したライブレポートの一節にこういう記述があります。
> 「自分ではあまりいい曲と思わなかったけれど、周りのスタッフには好評だった」という曲紹介で歌う「いっそ セレナーデ」

たしかに陽水が話した論旨はこの通りですが、この時の曲紹介トークで本当に注目すべきポイントは別の所にあります。
サラッと「洋酒のCMソングで依頼された」と言ったんです。そうでした。思い出しました。サントリー角。陽水自身が出演したCM。そして今回初めて「依頼を受けて作った曲」だと知り衝撃を受けました。

「甘い口づけ 恋の想い出」で始まるこの曲、歌詞のどこにも「酒」とか「グラス」とか「酔う」とか「これでおよしよ、そんなに強くないのに」とか、一切ないんです。
嘘だと思うなら歌詞を検索してごらんなさい。
「酒」を連想させる単語なんか一つもない。依頼されたCMソングなのに。なんなら主語もない。男なのか女なのか何歳くらいなのか、どんな状況なのか一切描写しない。
でも、陽水があの声で「甘い口づけ」と歌い出すだけで、なんだか夜の部屋の片隅でグラスをかたむけるイメージが沸いてくるんですよ。「グラス」なんて一言もないんだぜ。石原裕次郎「ブランデーグラス」はタイトル変えたら日本酒だって通用しちゃうのに。
頼まれ仕事を直接描写せずにイメージで応えるって、天才以外の何者でもない。

あの「少年時代」もそうです。
映画の主題歌として依頼されたはずですが、具体的な単語や描写はない。それなのに麦わら帽子に虫取り網の少年が見えるんです。それだけじゃない。郷愁とか憧憬とか、でももうあの時代には戻れない諦めとか悲哀とか、そんなものが全部入ってるんです。
マキタスポーツが「小学生が『少年時代』を合唱するらしいけど、酒焼けして声を枯らした中年しかこの歌の良さは分からない!」と怒っていたことがありましたが、その通りですよ。

極めつけは「海へ来なさい」。
このライブで「初めて子供が生まれた時に作った曲」と話た曲(以前も話してたので知ってたけど)。
それを踏まえた上で歌詞を見たら震えるよ。この人、天才なんだって本当に思う。

あ、そうそう。コーラスの素敵なお嬢さん達はこちら
稲泉りん佐々木詩織

も、もそっとおいで
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