December 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

私の20世紀〈4Kレストア版〉



革命家と詐欺師。娼婦に淑女。How many いい顔(<言いたいだけ)。素晴らしき哉、人生!

監督:イルディコー・エニェディ/UPLINK吉祥寺/
★4(70点)本家公式サイト
星がチカチカしながら神様らしき者が喋るってのはフランク・キャプラ『素晴らしき哉、人生!』手法ですな。アメリカの良心。ハンガリー映画だけど。

何度見ても名前を覚えられないイルディコー・エニェディ。名前どころか女性ということもうっかり忘れちゃうんですが、結構長い時間を割く不愉快な女性蔑視演説も女性監督であればその意図が見えてきます。
『私の20世紀』というタイトルがどこまで原題に忠実なのかは分かりませんが、この「私」は女性監督の言う「私」。つまりこのタイトルは「女性の未来」とも読み替えられるのです。そう考えれば、『素晴らしき哉、人生!』というメッセージが込められていても不思議ではありません。曲解だけどね。

つまりこれは、フェミニズム映画だと思うのです。

偶然にもこの監督、フェミニズムをゴリゴリ前面に押し出すジェーン・カンピオンとほぼ同い年なんですね。この映画が作られたのもちょうど世界で意識が高まった頃です。日本で言えば平成元年。日本で初めて「セクハラ」という言葉が登場した年。ちなみに平成最後に世界を席巻したのは「MeToo」運動。私の20世紀どころか平成の30年は性差別・性被害で明け暮れたのです。

1900年の大晦日。生き別れになった20歳の双子が偶然同じ列車に乗り合わせる。
いやはや、この設定だけでたくさんの“記号”が提示されています。
まさに20世紀の始まりの瞬間。少女から女性になる年齢。双子に象徴される二面性。
そしてマッチから電球へ、伝書鳩から電報へ。なぜかエジソンは悲しそうな顔をしています。
「技術は進化したけど、人は進化するのだろうか?」
勝手な推測ですが、こんなことを思っていたのかもしれません。

この映画が作られたのは1989年(公開は90年)。20世紀も終わりに近づいて、あの頃の「女性の未来」は実現したのだろうか?参政権は得たけれど、女性の地位は向上したのだろうか?

それがこの映画のメッセージだとすれば、前衛の衣装の下にナイフを隠している、なかなかしたたかな女性的映画だと思います。
タイプとしては、この映画から20年以上遡るチェコの女性監督による『ひなぎく』と同じなのかもしれません。



4Kレストア版日本公開2019年3月30日(1989年/ハンガリー=西独)

comments

   

trackback

pagetop