こういうあまり観る人がいない佳作・良作映画は、少しでも多くの人に観てもらえるように、未見の人の興味を惹くようなコメントを書かなきゃいけないんでしょうな。
出来ないんだよ。観た人にしか分からないネタバレありきのコメントしか書けない体質なんだ(<どんな体質だ)。でもがんばる。がんばって「面白そう」って思うようなコメントを書いてみるよ。
エルサレムかテルアビブか知りませんが、めっちゃ都会です。まるで高級タワーマンションの一室。これだけで、我々は(少なくとも私は)この国のことを何も知らないことに気付くのです。
おそらく兵役があるのでしょう。国情を考えれば当然かもしれません。現在戦場に駆り出されている息子も、父親も、そのまた父も、代々兵役についていたものと思われます。
この国の“家族感”がどういうものか分かりませんが、「お守り」のようなものを親子代々受け継ぐ、日本なら「げん担ぎ」的なことはどこの国でもある話なのですね。
息子は戦場に駆り出されていると書きましたが、実はラクダが道を歩くようなド田舎の検問所でボーっと過ごしているのです。絵が上手い子でね、スケッチなんかしながら。
大都会の一方でこんな光景もある。(日本でもどの国でも同じだけど)同じ国内でもこんなに違うんだ。本当にこの国のこと何も知らないなあ。
傾いたコンテナの中で質素な缶詰食べながら若者たちが兵役に従事しているわけですよ。
その一方で、可愛い女の子乗せてウェーイみたいなパリピーの若者の車が検問所に来たりするわけです。切ないな。
そんな息子の訃報が親元に届く。これが映画のスタートです。
どうです?面白そうでしょ?え?そうでもない?おかしいな。
未見の人には粗筋も何も分からないこと書いてますけどね、観た人から見れば物語の鍵となるポイントはほぼ押さえてある文章だと思うんですよ。自分で言うのもナンですが、かなりトリッキーな文章をがんばって書いてみました。
実はこの映画自体が結構トリッキーな作りなんです。
3部構成、極端なアップ、俯瞰、長回し、ダンス、アニメ、少ない台詞、フレームの外で動く事情や事態・・・。
一見静謐だけど実はゴッタ煮みたいな映画。
日本公開2018年9月29日(2017年/イスラエル=独=仏=スイス)
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