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心と体と



大人の『シェイプ・オブ・ウォーター』。


監督:イルディコー・エニェディ/新宿シネマカリテ/★4(80点)本家公式サイト
障害を持った男女のラブストーリー。そういった意味では『シェイプ・オブ・ウォーター』と同じ部類の映画だと思うのですが、実に繊細な映画です。大人の映画と言った方が正しいかもしれません。とにかく画面の切り取り方が映画的でワクワクする。

この映画、男側の視点と女側の視点で物語が進みます。しかしもう一つ“牛の視点”があるんですよ。
映画冒頭(現実場面の冒頭)は牛視点で入ります。その後何度か、男視点、女視点の間に牛視点が入る。
演出ミスではありません。監督は確実に意図している。実際、牛の屠殺シーンを最後に“牛視点”はピタッとなくなります。

この“牛視点”には意図があると思うんです。映画の裏テーマかもしれません。有り体に言えば屠殺シーンが本筋とは無関係に長すぎる気もしますが、逆に言えばそこに意図がある証拠です。
しかし残念ながら、私にはその意図が読み取れません。

ただ私なりに解釈するなら、「命の尊さ」ではないかと思うのです。
実際、劇中で「憐れみを持たない奴はダメだ」的な台詞があります。「憐れみ」という翻訳の仕方が正しいのかどうか分かりませんし言語も分かりませんが、私は「慈しみ」がしっくりくるような気がします。

そう考えるとこの映画は、“牛視点”ばかりでなく、男と女の関係も含めて、「慈しみ」の映画なのかもしれません。
言い換えれば「相手を大切に思う気持ち」。この映画が描くテーマはそこなのでしょう。

昨今のヨーロッパ映画は、テロとか移民問題とか人種差別が描かれることが多いような気がしていますが、「慈しみ」の精神があれば全部解決する気がするんですよ。
この映画は、「(障害を持った)男と女のロマンス」というテーマの裏に、“牛視点”を挟むことで、混乱する世界に対する答えのようなものを提示したのかもしれません。



日本公開2018年4月14日(2017年/ハンガリー)

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