May 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

デトロイト



寓話を捨てたキャスリン“ガチ”ビグローが描くアメリカという「システム」。

監督:キャスリン・ビグロー/日比谷TOHOシネマズシャンテ/★3(68点)(本家公式サイト
私は、キャスリン・ビグローの前2作『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』を「お仕事中毒な私!シリーズ」と呼んでいて、極限状態で「仕事(任務)ハイ」(もはや狂気に近い)になった人間の話だと解釈しています。
今回の作品もある意味極限状態ですが、「差別という狂気」に取りつかれた側の人間は敵役として配置されます。

はっきりと「差別主義者!(日本語訳では)」という台詞まであり(英語で何て言ったんだろう?)、政治的な意図がある映画だと思うんです。
キャスリン・ビグローは、50年前の実話を通して、今のアメリカで活発化している白人至上主義者(ドナルド・トランプも含めて)に対して物申したかったように思えるのです。
あんたらの正義って何なの?人権って知ってる?って。

アメリカという国の特殊事情と言ってしまえばそれまでですが、もう少し広い視点で考えると、元凶は「構造」というか「システム」にあると思うんですね。
警察官が(無駄に)権力を持っているというシステム。軍と州警察と市警が分離したシステム。司法が警察に甘いというシステム。自白は証拠にならないというシステム。
そしてこんなシステムもあります(誰が言ってどこで読んだものか忘れましたが)。

子供の頃に海水浴に連れていってもらった。ビーチには「白人専用」という看板が掲げられ、フェンスが立てられている。「どうしてフェンスがあるの?」「白人と黒人を分けるためよ」。そして黒人は車を盗むような人種だと教えられる。若干10歳にして立派な人種差別主義者だ。アメリカでは子供の時から人種差別主義者を養成する「システム」がある。

日本だって、かつて「士農商工穢多非人」「村八分」というシステムがあり、それが今日の「いじめ」につながる精神性の元凶とも考えられますけどね。ただ日本の場合は、差別より「派閥」文化なんだと思うんですよ。これの原因は「藩」とか「お家」というシステム。排除の論理という面では一緒かもしれませんけど。

よくできた映画ではあるんですが、気持ち良くはない。いや、手振れが多くて気持ち悪くなるということではなく、気持ちが暗くなる映画です。内容もそうですし、メッセージ色が強いのも重たい。正直楽しくない。映画として魅力を感じない。なもんだから、あまり点数は高くない。



日本公開2018年1月26日(2017年/米)

comments

   

trackback

pagetop