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嘘を愛する女



女性映画になり損なった女性映画もどき。


監督:中江和仁/ユナイテッド・シネマとしまえん/★3(60点)本家公式サイト
長澤まさみが「ごめんなさい」って言えるまでの物語なんだと思うんです。

オリジナル脚本だそうで、共同脚本を書いた新人女性脚本家によるものなのか、脚本協力としてクレジットされている奥寺佐渡子さんによるものなのか、時折「男には書けないよね」と思えるいい台詞があります。
「あなたとしたい10のコト」とか、川栄とのやりとりとか、高橋一生とイチャついてる時の台詞とか。その辺が女性映画っぽいんですが、全体としては女性映画になりきれていない印象。いわば女性映画“もどき”。

“もどき”要因の一つとして、「ごめんなさい」って言えない長澤まさみを女性は共感できないと思うんですよ。「こういう女いるよね」って客観的に見ちゃう。いや、オッサンが女性目線を語るもの変ですけどね。

そして結構、“男”のご都合主義が見え隠れするんです。

例えば、長澤まさみと川栄、あるいは初音映莉子。これはそれぞれ対立構図であるはずです。ところが川栄は(途中喧嘩はしますが)男の過去を探る協力者として機能した挙句、知らぬ間にフェードアウトしていきます。初音映莉子に至っては、男の書き残した文章=記憶の片鱗からは抹殺され(暗証番号は命日であるにもかかわらず!)、長澤まさみの嫉妬の対象にもなりません。むしろ「あんな女より長澤まさみの方がいいよね」ってための捨て駒にしか見えないのです。

この映画の主人公には、「男のことが知りたい」でも「知れば知るほど嫉妬する」っていう葛藤があるべきだと思うのです。なんだか、知れば知るほど「なーんだ、やっぱり私のことが好きだったんじゃん!へへへへ」(<長澤まさみのモノマネね)って話になっちゃってると思うんですよ。
自分を巡る女同士が争わないことほど男にとって都合のいいものはない。一人は死んじゃってるし、一人はフェードアウトするし、勝手に理想の未来を書き綴ってたら好きな女はちゃんと読み解いてくれるし。なんて好都合。吉田豪の娘に至っては何の苦労もなく(それも元妻のおかげで)99.99%父を容認するしね。

演出自体は間違いのない安定した演出をしていることと、野波麻帆とか奥貫薫とか川栄李奈とか初音映莉子とか個人的にウヒウヒ女優のオンパレードが楽しかったので、そこそこ高得点付けてますけどね。話はもっとミステリー色が強くてもよかったと思うんです。例えば「実は殺人犯なんじゃないか?」って疑うとか。

だって同じ「あなた本当は誰?」設定なら(男女逆ですが)ドラマ「カルテット」の方がもっとスリリングだったし、「震災避難の際に出会った男女」って設定はドラマ「最高の離婚」でもっと効果的に使ってたし。どっちも坂元裕二脚本だな。その坂元裕二がこの映画のエンディング曲の作詞をしているのはどういう縁なんだ?



2018年1月20日公開(2018年 東宝)

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