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ナラタージュ



ビクトル・エリセには誰もなれないし、ましてやマツジュンは森雅之にはなれない。

監督:行定勲/シアタス調布/★2(40点)本家公式サイト
原作は読んでいませんが、聞くところによると、劇中に出てくるビクトル・エリセ『エル・スール』の話題、先生の奥さんが好きだという『ダンサー・イン・ザ・ダーク』なんかは原作にあるそうですな。
劇中、懐中時計が出てきますが、これは『ミツバチのささやき』を意識しているのかもしれません。

しかし、おそらく劇中話題に上るトリュフォー『隣の女』、映像も見せる成瀬の『浮雲』なんかは原作にないオリジナルじゃないかと思うのです。
つまりそれは「男と女の腐れ縁のお話ですよ」宣言をしているわけです。

また、靴の話が出てきますね。裸足で歩くシーンなんかも見せながら、最後はヒールの足元アップを写したりする。
これは劇中の名画座・成瀬巳喜男特集で『浮雲』『流れる』と併映されていた『女が階段を上る時』ならぬ「女がヒールを履く時」の物語でもあるのでしょう。靴を履かされる(脱がされる)女から、自分で靴を選ぶ女へと成長するのです。

映画好きで、その映画的手法の引き出しも多い行定勲。実に映画的な表現が満載です。

何故ナラタージュで回想形式のストーリー展開なのか(それが本当に効果的なのか)は疑問ですが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように、現在と回想を固定カメラと手持ちカメラで使い分け、浅い被写体深度で近視眼的物語であることを表現する。
雨やプール事件など有村架純に「水」のイメージを持たせ、先生の「火」の事件と対比させる。
車を運転する有村架純と助手席の先生は横並びで、そこに挿入される先生と義父の回想は向き合っている(それを真横から対比的に撮る)。
車中で横並びの二人、まっすぐ前を(睨むように)見ている有村架純と酔っているのかうつむき加減の先生。つまり二人は同じ方を見ていない(見ている先が違う)。

いやもうね、映画的なテクニックが満載なんですよ。
前日『ミックス。』という映画的要素ゼロの映画を観たせいもあるんですがね、映画的なテクニックは堪能した。

ただ、ビックリするほどツマラナイんだ。




2017年10月7日公開(2017年/日本)

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