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おとし穴

おとし穴

安部公房との最初のコンビ作であり勅使河原宏の長編第一作。社会派不条理前衛喜劇
監督:勅使河原宏/ラピュタ阿佐ヶ谷/★4(75点)本家
今更言うまでもなく、勅使河原宏は前衛映画作家である。安部公房もシュルレアリスム作家であり共通項が多い。二人とも一時共産主義に傾倒したが決別しており、勅使河原はドキュメンタリー、安部はルポルタージュを若い頃に経験している。
この映画は、そうした二人の経験がガッツリ盛り込まれた作品なのだと思う。

廃墟と化した街は幾何学的な様式美。まるでアラン・レネ。
一方、役者は肉体を酷使したリアリティ溢れる肉感的な描写。

警官(権力)は女を陵辱して逃げ、底辺の者ばかりがさらに不幸に落ちていく。
組合ウンヌンの話が出るも、「団結」と書かれた鉢巻が沈んでいく様から、そんな主義や思想が万能ではないことを描く。
そうした世の中の“不条理”に気付くのは、死人になって初めて客観視できるという面白さ。

彼らを死に追いやる田中邦衛演じる殺し屋は、組合を壊滅させるための刺客にも思える。しかし私は、第三の何らかの組織の存在というよりも、天災にも似た不条理な“不幸”なのではないかと思う。言わば悪魔。いや、死ぬという不条理を受け入れることで、現実世界の不条理を客観視できることから、むしろ神なのかもしれない。まるでベルイマン。

(1962年 日)

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