November 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

野性の証明



当時は新鮮だったかもしれないけど、「トンデモ映画」ということを認めようよ。いや、「大いなる野心作」として再評価してもいい。
監督:佐藤純彌/CS日本映画専門チャンネル/★2(30点)再鑑賞↓(本家
えーっと、唐突な告白をしますけど、私は薬師丸ひろ子ファンです。過去形ではなく、今でも好きですよ。もっとも『ねらわれた学園』からのファンなんで、この『野性の証明』は後に観てるんですよね。若い頃は腑に落ちない映画でしたが、今観ると「なぜ腑に落ちないか」腑に落ちます。

比較的原作に忠実だと言われる前半と、映画オリジナルだと言われる後半ではまるでテイストが違う。原作は読んでいませんが、映画観てれば薄々分かる。前半は社会派推理小説の体で、このままその路線で推し進めても上質なミステリーになったと思うんだがな。どうしてこうなるかな?あと、どうしてこの時期、中野良子は重宝されたのかな?

いや、違うんだよ。これは角川春樹の「野心作」なんだよ。たぶん、きっと。

そもそも原作なんかないんです。角川春樹が、映画のために森村誠一に書かせた話なんですよ、これ。まず映画ありきだから、角川春樹が気に入らなかったら展開を変更するというのも分からんではない。
いやむしろ、「映画と小説は違う」ということで両方売ろうとしたのかもしれない。

では角川春樹は何を目指したのか?注目すべきはスタッフです。

監督は佐藤純彌。佐藤純彌と高倉健の組み合わせと言えば、『君よ憤怒の河を渉れ』、そして『新幹線大爆破』。
はい、だいたい傾向は分かりますね。最初から本格推理小説なんか求めてなかったんですよ。あ、『ゴルゴ13』もだ。

そして脚本は「東映のアルチザン」あるいは「鉄腕脚本家」高田宏治。ザ・仁侠映画の脚本家ですよ。『人間の証明』は曲がりなりにも松山善三脚本ですから、方向性が全然違う。

つまり、角川春樹が『野性の証明』に求めたのは「現代任侠大作映画」だったのです。
自衛隊にヤクザを重ね合わせるというトンデモナイ野心作。それがこの映画なのです。

余談

ただ、やっぱり、なぜ中野良子が重宝されたのか問題は解決していない。



(1978年 角川)

comments

   

trackback

pagetop