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スウィート17モンスター



まあ、可愛らしい。


監督:ケリー・フレモン・クレイグ/新宿シネマカリテ/
★3(55点)本家公式サイト
青春映画というと「汗と涙!」的なイメージなので「自意識痛い系思春期映画」と呼びますが、まあ、『ゴーストワールド』的なことを求めちゃうわけです。
作品の質の違いなのか、自分が大人(オジサン)になっちまったせいなのか、イーニドの痛さに「分かる分かるよぉ」とヒリヒリ感情移入していたのは遠い昔。この“モンスター”とやらはなんと可愛らしい。ポケモンか。ほのぼの映画。てか、原題『The Edge of Seventeen』じゃねーか。どこからスウィートとかモンスターとか出てきたんだよ。

いや、面白いんですよ。私、バカは嫌いですけど、ダメな子は好きなんです。私も“こっち側”の人間ですしね。

自分以外全員“パリピー”的“あっち側”の人間。“こっち側”の唯一の理解者は親友。でも親友は兄貴と同じ“あっち側”に行ってしまった。大好きだった父親の代わりに母親が頼る一家の大黒柱が“あっち側”の兄貴であることも気に入らない。
そういう理屈も分かります。上手い設定だと思いますよ。流れも自然ですし。
訳もなく反抗的になるのが思春期だし、訳もなくイライラするのが更年期なわけじゃないですか。分かるんですよ。分かるからこそ「可愛いね」とも思えるのです。

しかし、先生は愉快で優しいし、金持ち韓流男子が言い寄ってくるし、うーん、なんかこう、ただ一人相撲してるようにしか見えない。
『ゴーストワールド』は「自分だけが真っ当(<高くて痛い自意識)。この世界クソ。ゴーストワールド!」って映画でしたが、この映画は兄貴も含め皆(普通以上に)いい奴で、主人公一人が「モンスター」なんです。そう考えると、ダメっ子を高みからあざ笑うコメディにも見えちゃいます。

最終的に“ボーイ・ミーツ・ガール”の物語に帰着しちゃうところを見ると、『ゴーストワールド』よりも『アメリ』に近いのかもしれません。

しかし本作が「気持ちの変化」一つで「あっち側への歩み寄り」「ボーイ・ミーツ・ガール」「自分の幸せ」というゴールに一直線に至るのに対し、『アメリ』は「気持ちの変化」で「世界とつながる」「他人を幸せにする」という所に至ってから「自分の幸せ」「ボーイ・ミーツ・ガール」に至るまではかなり紆余曲折がある。
これは国民性なのかな?この「17歳のEdge」は短絡的に解決しちゃう。

そしてやっぱり気に入らないのはオチの付け方。
「Edge」を折って丸くなること、極端な言い方をすれば「あっち側に近づく」ことがハッピーエンドだとこの映画は定義付けているように思えるのです。
『ゴーストワールド』も『アメリ』も違うんですよね。「丸くなるのが人として正解だってことは分かってるけど・・・」Edgeを折れないまま“自分なりの”帰着点を見い出す物語だったと思うのです。

ダニエル・クロウズ(『ゴーストワールド』の原作・脚本)もジャン=ピエール・ジュネも“こっち側”の人間だから。たぶん。
でもこの映画の製作陣は『ザ・シンプソンズ』の人たちなんですよね。やっぱりダメっ子を高みからあざ笑うコメディなんだな。たぶん。

日本公開2017年4月22日(2016年 米)

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