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アナと雪の女王



知ってる知ってる『うる星やつら』のお雪さんだろ?と思って観たら全然違った。なかなか斬新な話でビックリした。
監督:クリス・バック / ジェニファー・リー/場所等/
★3(51点)本家公式サイト


前提を言いますと地上波放送で観ました。あのブームから2,3年経ってるんですかね?人として流行りものは一応観ておこうと思いまして。2,3年経ってますが。で、特に流行りものを避難する気もなく、割とフラットな気持ちで観たつもりなんですけどねぇ。

見せ方とか小ネタの挟み方とか巧いので、飽きずに観られるんです。
絵の力、音楽の力で観客を魅了するってのは、映画のあるべき本来の姿なんですよね。そういった意味では20世紀型の正しい映画だと思います。

ところが話が21世紀型なんだ。何でしょう、いろんな教訓や示唆に富んでるんでしょうか?なかなか斬新な話でビックリした。

あの有名な「ありのままに」の歌。勝手に「起承転結」の「結」辺りのことかと思ってたら「起」なんですよね。『タッチ』で言えば和也が死んだ辺りですよ。
ほらもう、冒頭から「怪物の哀しみ」というニンジンを鼻先にぶら下げられたから、姉さんに感情移入して観てるわけじゃないですか。あれやこれやいろいろあった上で解放されて「ありのままで」と思ってたら、まさかの「自己解決」。しかもそれが街に不幸をもたらす。やっぱり「ありのままに」「自分に素直に」なんてのはダメだっていう教訓です。もっと空気を読め、世の中そんなに甘くないという教示です。
実際、妹も「今日会ったばかりで結婚する」とか「ありのままに」行動した結果、国民を不幸に陥れるわけです。

物語上の「家族」が存在しないのも興味深い点です。
両親は、姉を幽閉し、妹に真実を伝えず、端的に言えば子供たちに不幸だけ植え付けて舞台から去ります。家族なんか必要ない、親なんか信用するな、お年玉を貯金しといてあげるなんて甘言に騙されるな、という教訓なのでしょう。

そして最も興味深いのは、男ども全員が全員、女性のための「道具」として扱われていることです。
私なんかはフランス映画とかで慣らされてるんで、「世界は男と女でできている」と思ってるんですが、この映画の世界は「女と氷雪」で出来ている。

「留守を預かっといて」「ちょっとそこまで乗せてって」、究極は「誰でもいいから私を愛して、私にキスして」。姉妹関係修復のため、男はただの「道具」。なかなか新しい話です。
結局この映画で男が報われたのは、ソリにドリンクホルダーが付いただけなのです。それを男は「ヒャッホー!」と喜ぶ。つまり、男なんて馬鹿で単純だという教訓なのです。
「お前、氷納入業者ね」「ヒャッホー!」。身分を超えるどころか、その差も埋められない。人間どんなに努力しても持って生まれた身分は超えられないという教訓です。

お雪さんと書きましたが(そう考えると妹のキャラは弁天さんみたいだ)『うる星』は諸星あたるという“男”がいて初めて成り立つ話なんですね。
「男関係いろいろあったけど、最後は女同士分かり合えるよね」あるいは「男を踏み台にのし上がる女」って話は結構あると思います。
つまり「男いらない」「男なんて!」という話は、“男”の存在があって初めて成り立つんです。男のいない映画、男の存在感が薄い映画もあります。しかし「男は女の道具としてのみ存在する」って映画は結構斬新だと思うんです。

言い換えれば、「恋愛」をゴールとしていない。もう少し言えば、「家族」も「親子」もゴールじゃない。こうした20世紀の“価値観”は一切テーマではない。ビックリした。
それがいいとか悪いとか、正しいとか正しくないとか、面白いとか面白くないとかじゃなくて、「時代だなあ」と思いました。

日本公開2014年3月14日(2013年 ディズニー)

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