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シン・ゴジラ



これが、セカンドインパクト。これが、イーオンの英会話。

監督:庵野秀明/TOHOシネマズ新宿/★5(90点)公式サイト本家
初作『ゴジラ』に続く第2のインパクト。そして、首都=東京がこれだけ崩壊したらどこかに首都機能を持った「新東京市」が必要だよね。見方によっては『エヴァ』の前日譚にも見える。だから「これが、セカンドインパクト」。
ま、石原さとみちゃんの英語力は・・・イーオンはメインスポンサーになった方が良かったんじゃないか?

私は一昨年のハリウッドスター ケン・ワタナベが出演したジュリエット・ビノシュ無駄遣い映画『GODZILLA ゴジラ』のコメントで、「もう巨大怪獣の時代じゃない」と書いた。初作『ゴジラ』は空襲のイメージの残る日本人にとってリアルな恐怖だっただろうが、街中で突然ナイフを振り回したり車で次々轢き殺したりする恐怖に晒されている昨今、巨大怪獣はリアルな恐怖ではなくなった、といった主旨のことを書いたように思う。
そして私は、こんな時代に庵野が何を我々に魅せてくれるか期待していた。

初作『ゴジラ』が空襲のイメージなら、本作は震災のイメージ。地を這って上陸する怪獣はまさに津波。
(そういった意味で変態する意味があるし、政府の初動が誤ったことで取り返しの付かない巨大化に至ってしまったという意味もある。それに最初は魚の眼なんだよね。地上に出てきてから瞼が出来るという生物学的な正しさ)

そして東京を戦時下に戻そうとした。
押井守は東京に戒厳令を敷きたがるが、庵野は東京に原爆を落としたがる。3度目の原爆投下こそサードインパクトなのかもしれない。

なんだかいう博士の写真は、本多猪四郎でも円谷英二でもなく、岡本喜八の写真だった。
もしかすると、庵野がやりたかったのは「怪獣映画」ではなく『日本のいちばん長い日』ではなかったか。
だから、民間人を登場させず、官僚の話に終始したのではないだろうか。
だとしたら、ゴジラファンはこの映画を喜んでいて本当にいいのか?俺は喜八ファンだからいいけど。

樋口真嗣が『日本沈没』で描ききれなかった“絶望”をこの映画は見せてくれた。この手の映画はそうでなきゃいけない。森谷司郎の『日本沈没』も「もうダメだ」という絶望感があった。しかししつこいようだが、写真で登場するのはフォービートのアルチザン=岡本喜八であって、東宝企画物のエース=森谷司郎ではない。だって森谷司郎の顔なんて誰も知らないから。
そして余計なことを言うなら、先に押井守を引き合いに出したが、この岡本喜八の役回りは『パトレイバー』の帆場暎一なのだ。実はこの映画、画面に出てこない岡本喜八と野村萬斎と伊福部昭がシンの主役なのだ(<言い過ぎ)。

とっても満足した。興奮して鼻血が出そうだった。ハリウッド映画が「どうせCG」を前面に押し出す中、「実写と見紛うCG」を魅せてくれた。だってそうでなければ観ている自分はそこにいないじゃない。こういうのが観たかったし、高層ビルの下敷きになるなんていう見たこと無い映像も魅せてくれた。

それでも気になる点を少し言うと、取ってつけたような台詞が多い気がする。富野節のようなガツンという台詞はない。庵野は台詞に重きは置いてないんだろうけど。
あと、ゴジラの通過するルートが雑。鎌倉から東京駅ならもうちょっと難所があるんじゃない?『平成ガメラ』の方が理になかった土地の使い方をした「シュミレーション物」だと思う。
もっともこれらは相対的な比較の話であって、この映画の絶対的価値を損なうほどの難点ではないけど。

追記

とまあ、事前に『シン・ゴジラ』情報を何も得ず(正直、予告編以上の情報は何も知らなかった)、素直に映画から読み解いたことをここまで書き上げてシネスケを見たら、なんだよ、ペンクロフが全部語ってんじゃねーか。へえ、庵野って喜八好きで“岡本喜八が撮った『ゴジラ』”がコンセプトだったんだ。
まあ、自力で読み解けたってことは、庵野の意図は成功してるんだと思う。

2016年7月29日公開(2016年 東宝)

comments

いやいやもう、さすがのコメントです。帆場暎一まで同じこと書いてるとは思わなんだ。「庵野の真剣さの10分の1でも樋口真嗣にあれば」は名言です。

  • ペペロンチーノ
  • 2016/08/03 11:39 PM

恐れいります。庵野が喜八ファンなのは事実ですが、「喜八が撮ったゴジラ」がコンセプトだ、なんていうのは映画を観たオレや他の人が言ってるだけで、別に公式が認める制作意図ではありません。まーでも、そう思いますよね…

   

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