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さざなみ



監督:アンドリュー・ヘイ/シネスイッチ銀座/
★4(70点)(本家/公式サイト

ザ・女優映画。ザ・シャーロット・ランプリング映画。
 
映画の序盤、犬の散歩から帰ったシャーロット・ランプリングがキッチンで夫と会うシーンがあります。このストーリーのキーマンである夫が初めて登場するシーンですが、カメラはシャーロット・ランプリングを写したままなんですね。普通、夫のアップのワンカットも挿入したくなるところです。でもそれをしない。監督の意図は明確です。

この映画は、夫婦の物語なんかじゃないんです。シャーロット・ランプリングの気持ちの流れの物語なのです。
そういった意味では『さざなみ』という邦題は悪くないのかもしれません。

さらに言えば、この時点でシャーロット・ランプリングにすらカメラは寄らない。アップの一つも撮らない。
この監督は、一定の距離をもって主人公を見つめるのです。
アレクサンドル・ソクーロフほど冷たく突き放して“観察”するわけじゃありませんが、主人公との距離を保って“見つめる”のです。

中盤、何だか分かりませんが、観光ボート的なものにシャーロット・ランプリングが乗ってるシーンがあります。
そこで流れる観光案内アナウンス「もしも別な場所に炭鉱が発見されていたら、この運河はなかったウンヌン(全然うろ覚え)」。
これは「もしもこの人と結婚していなかったら」というシャーロット・ランプリングの気持ちと重なるのです。さらに“川”というのが時の流れも想起させます。
こうなってくると邦題『さざなみ』よりも、原題『45 Years』の方がグッと重みが出てきます。
45年って重いよね。あんな可愛かった赤ん坊が薄らハゲのオッサンになるほどの時間なんだから(誰の話だ?)

監督が主人公と一定の距離を保った結果、映画は感傷的、感情的になりません。シャーロット・ランプリングも露骨な感情表現をほとんどしません。
それだけに観客側にの想像力が要求される映画なんですが、最後どう解釈するかは人それぞれ。性別や人生観で受け止め方が変わりそうです。

(16.04.17 シネスイッチ銀座にて鑑賞)

日本公開2016年4月9日(2015年 英)

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