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モヒカン故郷へ帰る



監督:沖田修一/テアトル新宿/★3(68点)本家公式サイト
故郷に帰るのはカルメン以来だし、モヒカンも『ラスト・オブ・モヒカン』以来だが(<そういうネタいらない)、むしろ逆『東京物語』だと思う。
沖田監督が意識したかどうかは分かりませんが、私は「逆『東京物語』」だと思うのです。
広島から両親が東京に出てくるのではなく、故郷広島へ実の息子が戻るんですね、嫁を連れて。
映画向きの女優=前田敦子演じる「おバカだけど素直な女の子(軽く毒舌)」の嫁(義理の娘)ではなく、実の息子と父親の関係。そこにあるのは、親子関係を通して描かれる、人と人との普遍的な愛情のようなものなのだと思うのです。
もっとも、“変わりゆく時代”の中で取り残される者から若い世代へメッセージを残そうとした小津に対し、沖田修一は「小市民のささやかな幸せ」を描こうとしているように思うんですけどね。
うん、沖田修一は、いつだって「小市民のささやかな幸せ」を描く監督だ。

私は、この映画の褒めるべき点と「ちょっと気に入らないな」と思う点が、同じ所にあるように思うのです。
それは「家族のあり方」。

この映画、一見特異なキャラクター達に思えますが、その家族像は至って“普通”。日本の代表的な家族像と言ってもいい。
こないだガールズバーでお母さんフィリピン人で3人いる弟全部父親が違うってハーフの娘に会ったけど、そういう特殊な環境の方がドラマを作りやすし作りたくなる。実際多くのドラマは特殊な人間関係の中で人間の普遍的な営みを描こうとする。寅さんなんか典型だ(あれは相当トリッキーな家族関係だと思う)。
だけどこの映画は、普通の家族関係で普通の感情を持った登場人物だけで物語を構築している。これ、なかなか凄いことだと思うんです。是枝にはできないよ、たぶん。

その一方で、このごく普通の家族関係が逆に難点な気もするのです。
これ、瀬戸内海の小島の設定である必要ないよね?
そういう田舎に設定しちゃうと、もっと“土着性”が必要だと思うんです。地元の友達だっているだろうし、「あそこの息子、変な格好して嫁連れて東京から戻ってきたんだって」とか近所の噂になるだろうし、主人公自身の故郷への想い(たいがいは田舎が嫌い)もある。「宴会だ―!」じゃ済まないんですよ。親戚関係も面倒臭いし。
さすがに『祭りの準備』とは時代が違うけど、山下敦弘などが田舎の“土着性”を見事に切り取るのに対し、この映画は標準的な家族すぎるんです。
正直言って、埼玉あたりの家族に見えちゃうんだ。

2016年4月9日公開(2016年 日)

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